完璧なレースでラブリーデイがGI初制覇 ゴールドシップはゲートに沈む

【佐藤直文 先週のレース回顧】
過去2年と同じく、少し雨の影響が残る良馬場での施行となった宝塚記念。3連覇を賭けるゴールドシップにとって、お誂え向きの状況と言えたのだが、まさかの大出遅れ。単勝1.9倍の大本命が消えての大波乱決着となった。

佐藤直文 レース回顧
宝塚記念

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完璧なレース運びで ラブリーデイが夢を掴む 【宝塚記念】

 前日は稍重だった馬場は、朝から良の発表であったが、やはり雨の影響が残って少し時計のかかる状態。2分14秒4という、良馬場に限れば近年は例のない遅い決着タイムも、そのためとも言えるが、同距離で行われた7レースの500万条件が2分14秒8であったことを考えれば、加えてのスローペースが生んだ時計であろう。

 1000メートル通過が1分2秒5という、そのスローペースの中で、ラブリーデイは2番手からの競馬。大外枠だったが出脚が付いて難なく先行できたことが、まずは最大の勝因であるが、本来はどこかで絡んでくると思われたゴールドシップをはじめとして、後続からのプレッシャーが全くない状況で直線を迎えることができた点も大きかった。これだけ自分の競馬が易々とできたのなら、全く不思議のない勝利であるが、年明けから5戦と、メンバー最多の出走数で使われ続けながら、この大舞台で態勢を整えた陣営にも敬意を表したい。

今年の重賞4勝目が初GIのタイトルとなったラブリーデイ(撮影:日刊ゲンダイ)

今年の重賞4勝目が初GIのタイトルとなったラブリーデイ(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着デニムアンドルビーは、脚を溜めるだけ溜めての直線勝負。惜しむらくはポジションやペースが、といったところだが、道中である程度の位置を取りに行っていれば、これだけの脚も使えなかったはずであり、スローに加え道中でのペースアップもなかった流れで、より脚を溜めることができたもの。これまた最高の競馬での2着だったと言える。

 3着ショウナンパンドラは、枠なりにインをロスなく立ち回り、秋華賞と同様の競馬。人気のない気楽さゆえにできたことだろうが、2着馬と同じく自分の競馬に徹しての好走だった。4着トーホウジャッカルは、けっして万全の状態でなかったことを考えれば、次に繋がる内容。ラキシスは、直線を向いて一旦は伸びかけながら止まったあたり、プラス10キロの馬体が少し重かったのかもしれない。

 そして問題のゴールドシップ。目隠しをしてゲートにはスンナリと入ったのだが、そこからパニックを起こしてしまった。スターターは断然人気の馬を注視してタイミングを合わせるものであるが、ちょうど開いたのと立ち上がるのが同時では仕方ない。大出遅れから一旦は馬群に取り付いたものの、全くの論外。こういう癖がある馬だと言ってしまえばそれまでなのだが、好勝負を期待していた我々、そしてファンにとっても残念な一戦であった。

ゴールドシップはゲート内で立ち上がり大出遅れ(右から2頭目、撮影:日刊ゲンダイ)

ゴールドシップはゲート内で立ち上がり大出遅れ(右から2頭目、撮影:日刊ゲンダイ)

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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