これはGIも視野に入る器 完全に本格化したパクスアメリカーナ

佐藤直文 レース回顧
京都金杯

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着差以上の強さを見せた パクスアメリカーナ

 ペースが遅かったとはいえ、1分34秒9というのは平凡な時計の決着。ただ、これは中山とは対照的に京都が全体的に時計のかかる馬場だったためと見て良く、低レベルと判断するのは早計だ。着差以上の強さを見せた勝ち馬も、今年のマイル路線で核となるだけの力を見せたと言える。

 そのパクスアメリカーナだが、前走のように一気に抜け出すことはできなかったが、道中で枠なりに外を回らされるロスもありながら、最後まで脚を使ったものであり、完全に本格化したと思える走りだった。昨年のNHKマイルカップこそ、直線で不利もあって結果を出せなかったが、本来は東京マイル向きの馬であり、少し気は早いが安田記念が楽しみになったと言える。

パクスアメリカーナ

人気に応えたパクスアメリカーナが重賞初制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マイスタイルは、マイルへの距離短縮が鍵と見られていたが、今日のところは苦もなく先行できるペースだった。不利な枠順を考えれば、これだけ粘ったことは高く評価でき、距離の選択肢が広がったという意味でも大きな収穫があった。

 3着ミエノサクシードにはちょっと驚かされた。2走前のオープン特別勝ちは多分に相手が楽だったものであり、牡馬相手の重賞では足りないと思っていたのだが、ハンデの54キロもけっして恵まれたとは言えない中での激走には恐れ入った。

 4着アドマイヤアルバは、後方から運ぶ形だったが、道中は全くロスのない立ち回りで、ラストも馬群を割ってよく脚を伸ばしていた。3歳春以来のマイル戦だったが、適性は高いと見ていいだろう。

 5着ヒーズインラブは、いつもより前目の位置で流れに乗れていたが、その分だけ最後の伸びにらしさが見られなかった。

 サラキアは、道中をロスなく立ち回り、直線で少し前が狭くなるシーンこそあったが、脚があれば抜けてこられたはず。今回に関しては前走からひと間隔開いて状態が整っていなかったように思えた。カツジは、内枠のせいもあったか、前走のようにジックリ構える形ではなく、同じ後方でも脚を使いながらの追走。やはり、その分だけラストの伸び脚が鈍ってしまったと言えるが、成績にムラが出るのは仕方のない脚質でもあり、今日の一戦で見限ることはできないだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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