サブちゃんの悲願成就とキタサンブラック北村宏の“神騎乗”に、心底から拍手を

【佐藤直文 先週のレース回顧】
二冠馬不在の菊花賞で、ラスト一冠を手中に収めたのは、キタサンブラック。ロスのない運びで勝利へ導いた北村宏騎手の神騎乗と、そして何より、オーナーの執念が後押しに。秋晴れの淀は、勝って“まつり”を熱唱したサブちゃん劇場と化した。

佐藤直文 レース回顧
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乱ペースにも動じずに キタサンブラック 【菊花賞】

 サブちゃん悲願のGI制覇、そして公約通りの“まつり”熱唱で大団円となった菊花賞。一介の芸能人馬主の範疇にとどまらず、競馬に並々ならぬ愛情を注いできたホースマンだけに、その喜びはいかばかりか。馬券や予想を離れて、心底から拍手を贈りたい勝利であった。

 スティーグリッツが大きく立ち遅れた以外は一斉のスタートで、注目のハナ争いは大外2騎が主張したものの、リアファルスピリッツミノルに譲っての2番手から。そのハナ争いもあってか、前半1000mは60秒2と、驚異的レコードの出た昨年をコンマ7秒も上回っていた。しかし、そこからガクンとペースが落ち、以降の3ハロンは全て13秒台のラップに。向正面では抑えきれなくなった馬たちが動いて隊列が乱れ、出入りの激しい展開となった。そして、この向正面から3コーナーにかけてが、勝負の別れ目となったように思う。

 キタサンブラックは、セントライト記念を制しても拭えぬ距離不安が衆目の一致するところだった。しかし、春とは違う点は精神面での成長で、その向正面で一気にペースアップした際にも動じることなく、インで脚を溜めることができたのが、最大の勝因だったように思う。けっして3000mの距離が合うわけではないが、中盤で無駄に動かなかったことで克服できたわけだ。もちろん、そういう競馬をした北村宏騎手の“神騎乗”も称えたい。

キタサンブラック

内から抜け出したキタサンブラックが最後の一冠を制した(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着リアルスティールもまた、よく折り合いが付いて、向正面からも無駄に動くことはなかった。キタサンを見る位置で運んだものの、相手はリアファルと絞っての競馬だっただけに仕方ない。この馬も距離がけっして合うわけではなかったが、長距離に対応したという点で、賢い馬だと思う。

 3着リアファルは、最初に絡まれてしまったのは痛かったが、向正面からの乱ペースを先団で凌いで勝ち負けを演じたあたり、負けて強しを思わせる内容だ。芝でのキャリアを考えれば、もっともっと強くなる馬。今後が楽しみになった。

 ◎に推したタンタアレグリアは、向正面のガチャガチャしたところでモマれたものの、そこで動きはしなかったクチ。直線で外へ持ち出してからよく差を詰めているが、上位とは力の差があったか。

 サトノラーゼンは、枠なりにインでロスなく脚を溜めて運んだものの、もう一列前、キタサンのポジションで運びたかったところ。直線では一旦キタサンと並びながら、スッと反応できなかったあたり、距離の壁もあったように思える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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