本格化ベストアクター 降着の北村友ダイアトニックは「気性的な原因も…」

佐藤直文 レース回顧
阪急杯

主役を食った名演技 ベストアクター

 ただでさえイン有利の開幕週の馬場で、内目の枠に有力馬が集中した形。外目の枠の馬にとってはけっして楽な状況ではなかったはずだが、それを克服して見せた勝ち馬の走りは、本物と見ていいだろう。

 そのベストアクター。スタートから少し出して行ったことにより、馬群がバラけたところで中団の内から2頭目の位置を確保し、ロスなくスムーズに運ぶことができた。直線でも前が開くのを待って、巧く捌いて抜け出した形だ。前走の東京戦でも同じような競馬でいい勝ち方ができていたが、一気の相手強化に加えて中1週での関西への輸送では厳しいかとも思われた中で、この走りは完全本格化と見ていいだろう。セン馬だけに、6歳でもまだまだこれからであり、ベストの1400mなら重賞勝ちの上積みも可能なはずだ。

ベストアクター

6番人気のベストアクターが3連勝で重賞初制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着フィアーノロマーノは、好位のインで絶妙な立ち回りを見せ、直線を向いた時点でも前に十分なスペースがあっただけに、直後の不利は本当に痛かった。その不利がなければ2位入線はもちろんのこと、勝ち馬との差も際どかったはずだ。

 3着ダイアトニックは、直線での内への斜行は外の馬にヒルんだ気性的なものもあったか。ただ、この馬も1400mでは全く崩れ知らずのスペシャリストであり、馬にとっては不運だった今日の結果を糧として更なる成長に期待したいところだ。

 4着スマートオーディンは、自分の競馬に徹して最後は昨年の覇者に恥じない伸びを見せた。不利な大外枠であったが、この馬には全く関係はなかったのだろう。

 5着ステルヴィオは、この距離においてスタートで後手を踏んでは厳しかったと言えるが、道中は勝ち馬とほぼ同じポジションだっただけに、直線でもう少し巧く捌けていたら、という印象も受けた。次へ向けてはそれなりにいい走りはできたように思う。

 クリノガウディーは、内目の枠だったこともあってか、引かずに積極的に前で運んだが、今日のペースでは行き過ぎたと言っていい。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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