人気裏切ったレシステンシア 桜花賞で勝つために騎手がすべきこと

佐藤直文 レース回顧
チューリップ賞

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無敗の女王に土を付け マルターズディオサが桜の主役へ

 阪神ジュベナイルフィリーズの上位組が揃って出走した本番さながらの好メンバー。結果もそこでの上位3頭が力を示す形となったが、着順が変わったのは3ヶ月の短期間での成長分と見ていいだろう。少なくとも戦前の“桜花賞1強ムード”が瓦解したことは言うまでもない。

 マルターズディオサは、外枠からスタートを決め、ジワっと進出して好位から前を見ながら運ぶ形。ここまでは前走の阪神JFと同じようなレース運びだったが、違ったのは直線を向いてからで、前走では影も踏ませて貰えなかった2歳女王にスッと並びかけ、息の長い末脚で競り勝ったものだ。相手を1頭に絞って競馬がしやすいところもあっただろうが、正攻法の競馬で勝ち切ったあたりは、馬体重こそ変わらなかったが伴ってきた中身と精神面での成長が窺えたと言える。

マルターズディオサ

阪神JF上位3頭の争い、制したのはマルターズディオサ(桃帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クラヴァシュドールは、枠なりに好位のインをロスなく運び、直線を向いても開いたインのスペースから脚を伸ばしたもの。前走に続いて今回の勝ち馬にはハナ差及ばなかったが、優秀だったサウジアラビアRC2着の内容を考えても、力の差はないと言えるだろう。

 3着レシステンシアは、スタートを決めて難なくハナに立って運んだのは、前走のプレイバックを見ているようだったが、大きく違ったのはペース配分で、阪神JFの1000m通過が57秒5だったのに対し、今回は59秒3の溜め逃げだった。自分も楽だが、好位追走組にとっても楽な流れだったことで、最後の叩き合いで後れを取ってしまったと言える。もちろん今回の経験は本番に生かせるはずであり、勝つためには何をすべきかは、陣営も鞍上もわかったであろう。

 4着イズジョーノキセキは、後方で溜めるだけ溜めた脚を直線で一気に爆発させたもの。もう少し速い流れであったなら、あるいはと思わせる脚だった。

 5着スマートリアンは、出負けしたことで今までとは違う後方か運ぶ形となったが、これまたよく脚を伸ばしていた。上位とは力の差があるものの、今後に繋がる競馬はできたように思う。

 ウーマンズハートは、実績では劣る4・5着馬に伸び負けたあたり、不満の残る内容だったが、モマれ弱さや気難しさが残るのに加え、左回りの方がいい馬なのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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