皐月賞ではありえない流れ 2着ヴェルトライゼンデは「不満は残るが…」

佐藤直文 レース回顧
スプリングS

南から来た男が大仕事 ガロアクリーク

 前半1000m通過が63秒2という超の付くスローペースで、いわゆる上がりの競馬になったが、本番の皐月賞ではありえない流れだったとはいえ、究極の瞬発力勝負を制した勝ち馬は、とてもフロック視できる走りではなかったように思う。

 そのガロアクリーク。道中は人気の2着馬を前に見る形で運び、各馬が動き出した3~4コーナーの勝負どころでの反応も抜群に良かった。4コーナー手前では外から来た3着馬の勢いの方が勝っていたようにも見えたが、怯まずに間を割って力強く抜け出した形だ。暮れのホープフルSでは全く競馬にならなかったが、素質は見込まれていた馬であり、十分に脚を溜めて運べたことで持ち前の瞬発力を爆発させたと言える。

ガロアクリーク

南アフリカ出身ヒューイットソンJのガロアクリークがV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ヴェルトライゼンデは、勝ち馬と一旦は並ぶ形から突き放された点に不満は残るが、皐月賞のみならずその先を見据えた仕上げを思えば、悲観すべき負けではない。1800mの距離もやや短い感を受けただけに、本番での変り身に期待したい。

 3着サクセッションは、折り合い重視で運んだとはいえ、今日の流れではちょっと厳しい位置取り。上位2頭よりも先に動かざるを得なかったことで、最後に伸びを欠いてしまった形だ。

 4着ファルコニアは、スタートでアオって最後方からとなったが、向正面で一気に動いて好位まで上がったこと自体は、流れを考えれば失敗ではなかったはずであり、この結果は力不足と見るべきか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。