ブラヴァスは「秋が楽しみ」 10着ワーケアは追われてサッパリ「確たる敗因が…」

佐藤直文 レース回顧
新潟記念

まだまだ上を目指せる器 ブラヴァス

 良馬場で1分59秒9という、過去10年で最も遅い時計の決着は、新潟2歳Sもそうだったようにメンバーレベルの問題ではなく、今の新潟の馬場を象徴する数字であろう。加えて、前半1000mが61秒9では、瞬発力勝負であってもある程度のポジショニングが求められる一戦となった。

 ブラヴァスは、もう少し前目で運ぶかとも思われたが、スローペースを中団からというのは明らかに追走が楽で、その分だけ直線では抜群のキレ味を見せた。おそらく福永騎手にもそういうイメージがあったと思える乗り方で、辛勝ではあったが力が一枚上だったとも言える。まだまだ上を目指せる器でもあり、秋が楽しみになってきた。

ブラヴァス

外ラチに近いところを伸びたブラヴァスが重賞初制覇

 2着ジナンボーは、スタートで寄られて安目を売ってしまったが、バックストレッチでも各馬が内を空けて走っていた中で、インをスルスルと進出。スローだったこともあって、3コーナーではハナに立っていたが、このあたりのミルコの判断力には舌を巻いた。直線で巧く外へ持ち出して、上がりも33秒1であれば、昨年に続いての惜敗でも力は出し切ったと見ていい。

 3着サンレイポケットは、陣営のトーンが一息で印を回せなかったが、重賞でここまで走っても全く不思議はない馬。イレ込まなくなったことでフルに力を出せるようになったとも言えるが、落ち着いた状態で走れる無観客競馬も追い風かもしれない。

 4着サトノガーネットは、直線で一番外から31秒9という最速の上がりで猛追したが、今日の流れではここまでだった。ただ、パドックでは一番良く見えた馬であり、今後もGIIIでは常にマークが必要だろう。

 ワーケアは、好馬体で仕上り自体も良く見せていたが、絶好と言えるポジションから追われてサッパリ。馬群でストレスの溜まる形の競馬が良くないのかもしれないが、今日のところは確たる敗因が掴めない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。