コントレイル無敗三冠濃厚 おびやかす存在は認められず

佐藤直文 レース回顧
神戸新聞杯

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この上ない完勝劇 コントレイル

 父ディープインパクト以来となる無敗での三冠達成へ向けての始動戦となったコントレイル。ここでの興味は単なる勝敗ではなく、どんな勝ち方をするのかに尽きたが、先週のセントライト記念と今日の結果をふまえた上で本番を占うと、偉業達成の確率もかなり高まったと見ていい。

 そのコントレイル。スタート自体は一息だったが、同じ内枠からポジションを取れなかった皐月賞とは違い、スッと中団へ。道中は馬群の中でも力みのないスムーズな走りだった。直線を向いて苦もなく前に進路が開いたことは確かだが、そこを楽に抜ける反応の良さもまたこの馬の卓越したセンスを示すもので、熾烈な2着争いを尻目に持ったままでの完勝は、まさしく着差以上の強さだった。ダービー出走時と比べても、馬体重こそ増えていなかったが、重厚感が出てドッシリとした印象。トモのはまりが良くなったことにより、後肢の推進力がアップしたように思う。東西のトライアル戦で脅かす存在が認められなかった上に、成長ぶりを見せ付けたとあれば、前述したように父の軌跡を辿っての三冠達成も濃厚と見たい。

コントレイル

無敗の三冠に向けてコントレイルが前哨戦を難なくクリア

 2着ヴェルトライゼンデは、大外枠もあってかポジションを取れず後方から運ぶ形となったが、直線で外へ持ち出されてから最後まで渋太く脚を使ったもの。順調さを欠いてセントライト記念予定からここへの変更を余儀なくさせられたが、さすがはダービー3着馬と言える走りであり、自身の上積みで本番はどこまで迫れるか、といったところだろう。

 3着ロバートソンキーは、直線で勝ち馬が抜けた後の進路を巧くついて、一旦は2番手の大健闘。まだ1勝馬の身だが、本番はともかくとして、キャリア的にも先々が楽しみになる走りだった。

 4着ディープボンドは、前々で運んで粘り込みを図るという、ダービーと同じ競馬をして同じ負け方だったが、前の組には厳しい流れで掲示板を確保したこと自体は評価できる。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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