愛知杯を制したバウンスシャッセは、牡馬混合戦でも楽しみな存在

佐藤直文 レース回顧
愛知杯

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大幅馬体増も何のその バウンスシャッセ

 前半1000mが59秒2と、開幕週の絶好の馬場を考えればけっして速いペースではなかったものの、少し乱ペース気味で、前で運んだ馬にとっては厳しい流れだったように思える。時計も一昨年暮れの金鯱賞でラストインパクトがマークしたレコードとタイなら立派なもので、牝馬GIIIとしてはハイレベルな戦いだったと言っていい。

 バウンスシャッセは、後方でジックリ構えて持ち前の決め手をフルに発揮したもの。トップハンデを背負っての横綱相撲は、展開以上にコースの適性が高かったように思えたが、人気を落とす原因となった久々で22キロのプラス体重も、おそらくこれがベストに近いのであろう。牡馬と比較してもパワー負けしない馬だけに、今後は色々な選択肢もありそう。それにしても、京成杯のワンツースリーを含め、先週はこの勝負服が席捲した形だ。

 2着リーサルウェポンは、直線で大外から早目に先頭を窺う形で、実績のない距離だったにもかかわらず、最後までしっかりと脚を伸ばしたもの。50キロの斤量に恵まれたことは確かだが、それ以上に目下の充実ぶりを示す走りだった。

 3着アースライズは、直線で馬場の真ん中から突き抜けかけたが、上位2頭の決め手に屈した形。ただ、牝馬GIIIならいつでも勝てると言える内容で、あとは展開やコースだけのレベルだろう。

 4着マキシマムドパリは、出負け気味のスタートで気合いを付けたことでハミを噛んでしまい、やや持ってかれ気味で好位に。勝負どころでは逆に手応えが一息となったが、その割には踏ん張って、負けて強しの内容だった。秋華賞3着の力は本物であり、まだ準オープンの身で、自己条件に戻ればアッサリのクチだろう。

 5着レイヌドネージュは、道中シンガリから直線でも一番外を回って伸びたもの。展開も向いたと言えるが、馬場やコースの適性が高かったと思われる。

 シュンドルボンは、エリザベス女王杯でコンマ2秒差の善戦が買われて1番人気に推されたが、そこからひと間隔空いて、状態が一息だったか。前で運んで、女王杯のように脚を溜めることもできなかった。ハピネスダンサーは、直線でゴチャついて全く脚を使えなかった形だが、この2連勝が京都でのもので、中京の馬場やコース適性が一息かもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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