横山武に「最大級の称賛を」 “完封負け”コントレイルは「道中で併せていれば」

佐藤直文 レース回顧
天皇賞(秋)

稀代の名牝を捉え三冠馬を封じ エフフォーリアが新時代の幕を開けた

 前半1000mが60秒5のスローペースで、後半が57秒4というのは、距離こそ違うが今年のダービーでの前半60秒3、後半57秒0という流れに近いものがあった。そのダービーと同じような位置取りで、ハナ差負けの経験を糧としたかのような横山武史騎手の手綱捌きには最大級の称賛を贈りたい。

 そのエフフォーリア。体重こそ春と大きくは変わっていなかったが、パワーアップを感じさせる馬体と、何より落ち着きを増して確かな成長ぶり。前にグランアレグリア、後ろにコントレイルというポジションはけっして楽ではなかったはずだが、早めに先頭に立ってシャフリヤールの強襲に屈したダービーと同じ轍を踏まず、直線でコントレイルが忍び寄って来るのを待ってからの追い出しで、見事にリベンジを果たした。人気2頭を従えてのゴールだったが、内容的にも着差以上の完勝と言えたのではないだろうか。

エフフォーリア

3強決戦を制したのは3番人気の3歳馬エフフォーリア

 2着コントレイルは、前に勝ち馬を見ながらの位置取りは予定どおりだったかもしれないが、勝つには道中から馬体を併せる形が理想だったのではないだろうか。ただ、ガムシャラに勝ちに行く競馬でなかったことも確かで、ラストランとなるジャパンCには繋がる内容だったように思う。

 3着グランアレグリアは、好位で折り合ってラストもしっかりと脚を伸ばす、この馬としては文句なしの競馬ができていた。距離云々ではなく、それよりも上位2頭が強かったということだろう。

 4着サンレイポケットは、上位3頭との力量差は歴然とした結果だが、ゴール前は馬場の荒れた内をついてよく伸びていた。東京2000mもおそらくベストと思えたが、鞍上が新潟メインのライオンボスを断って騎乗を受けただけの走りは見せた。

 5着ヒシイグアスは、まだ調教でも攻め切れていない中での臨戦で、ここまで来たのだから、能力は高い。今後、無事に使えるようであれば、大舞台でもチャンスがあるだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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