エフフォーリアはなぜ ジャックドールはなぜ 「驚きの結果」が生まれた理由

佐藤直文 レース回顧
大阪杯

今週もまた重賞未勝利馬のGI制覇 ポタジェが大金星

 まずは、エフフォーリアの敗因について考察しなければならない。前半で最大のライバルである逃げ馬を視野に置いて運ぶことができなかったのは仕方ないとして、これまでのレースのように勝負どころでポジションを上げて4角では射程圏ということができず、全く競馬に参加できなかったもの。昨秋2戦の疲れ、特に万全とは言えない状態で勝った有馬記念のダメージから、体調をしっかりと戻すことができていなかったと言える。これを叩いて次、というよりも、もう一度立て直す必要があるだろう。

 その大本命馬が本来の姿でなかったのなら、他にもGI馬がいるとはいえ、実質はGIIレベルのレースだったと言っていいが、ならばポタジェの激走も何ら不思議なことではない。理想的な立ち回りを演じた2着馬を巧く利用して、それ以上の最高の立ち回り。4着止まりだったとはいえ、前走の金鯱賞で上がり最速をマークした馬が、これだけ思い通りの競馬ができたのであれば、納得の行く結果ではなかったか。

ポタジェ

これまで堅実な走りを続けてきたポタジェがGIの舞台で波乱を演出

 2着レイパパレは、無理に前を追い掛けず、自分のペースとリズムで運んで勝ちに行ったものであり、負けて強しをアピールする内容。惜しむらくは、昨年のようなとは言わないまでも、もう少し時計のかかる馬場になっていれば、連覇できたのではないだろうか。

 3着アリーヴォは、後方から勝負どころで内目をついてポジションを上げ、直線を向いて巧く馬場の外目に持ち出して前に迫ったもの。その上手な立ち回りも含めて、収穫の大きいレースだった。

 4着ヒシイグアスは、中団の前目でいい形の競馬ができていたが、直線での反応が一息でジリジリとしか脚を使えなかったあたりが久々の分だったか。このあと順調に使えるのなら、走りのレベルを上げることも十分可能だろう。

 5着ジャックドールは、前走のレコードVも含めてここ2戦連続して1分57秒台で走破しているとはいえ、前半1000mが59秒を切るペースで逃げたことはない馬。さすがに、少し時計のかかる馬場での前半58秒8はキツかったと言わざるを得ない。それでも掲示板に踏み止まったあたり、能力自体の評価を下げる材料とはならないはずで、今日の経験を今後にどう生かせるかであろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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