地力勝負を制したクイーンズリングが、春GIに向け存在をアピール

佐藤直文 レース回顧
京都牝馬S

正攻法でねじ伏せた クイーンズリング

 今年から距離が1400mとなったレースだが、こちらは発表通りの重馬場。良馬場であれば、平坦な直線でのキレ味比べとなったはずだが、今回はまず第一にタフさが要求がされる競馬となった。

 クイーンズリングは、イメージ以上に渋った馬場もこなせていたし、3ヶ月ぶりでマイナス6キロと、細く見えるほど仕上げられていた。ただ、勝因の第一は鞍上の好判断。後方からキレ味を生かすのがこれまでの好走パターンだったが、枠順や馬場を考えて正攻法で運び、地力勝負に持ち込んだミルコの手腕には改めて感服させられた。これで重賞は1400mで2勝となったが、けっしてこの距離がベストというわけでもなく、目標のヴィクトリアマイルに向けて、存在を強くアピールしたと言える。

クイーンズリング

M.デムーロの好騎乗も光ったクイーンズリング(左、撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マジックタイムは、中団でうまく流れに乗って、今日のような馬場も苦にすることなく、ゴール前で勝ち馬をクビ差まで追い詰めたもの。これまでの4勝は全て左回りのマイル戦という馬だったが、右回りも距離も全く問題のない走りであり、今後の選択肢も広がるであろう。

 3着ウインプリメーラは、いつもよりは控え目の位置取りだったが、直線半ばから2着馬とともに渋太く脚を伸ばしていた。1400mは今回が初体験であったが、こういうレース運びができるのなら、むしろ合っている印象も受け、新しい面を見せたという点でも収穫は大きいと言える。

 4着スナッチマインドは、4角で勝ち馬を並ぶ間もなく交わして、そこからどれだけちぎるのか、と思わせたほどだったが、残り1ハロンの手前で急激に内へササッて失速。今後も、そういった気難しい面との己の戦いとなりそうだが、このメンバーでも通用する脚を持っていることは確かだ。

 5着ウリウリは、枠なりに好位の内を運んで直線もそのままインを突いたが、いつもの爆発力は見られなかった。今日の馬場で、別定57キロの斤量もキツかったはずであり、大目に見ていい一戦だろう。

 ウキヨノカゼは、例によって最後方に近い位置から自分の競馬に徹したが、今日の馬場では競馬にならなかったか。プラス12キロと馬体にも余裕があり、ジョッキーも早めに諦めての15着は、参考外と言える着順だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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