“ドングロ”レベルの道悪適性で、トゥインクルが爆勝

佐藤直文 レース回顧
ダイヤモンドS

道悪の鬼を襲名 トゥインクル

 ダイヤモンドSは、稍重発表の馬場であったが、かなり雨脚も強くなっていて実質は重馬場だったように思う。3分37秒8という、この距離になってからの最遅決着も、メンバーやペースによるものではなく、それだけの道悪だったということ。そして、その適性が如実に現れた一戦だった。

 トゥインクルは、太目残りだった前走から馬体が絞れて、状態面での良化があった。早目に仕掛けながら脚色が鈍らなかったのも、54キロの恵まれたハンデによるものだったかもしれない。しかし、それ以上に決定的とも言える勝因が、道悪適性の高さだったろう。3歳時の未勝利戦とはいえ、不良馬場の東京2400mで2着を1秒3もちぎって勝った実績がある馬で、今回もタフな馬場を全く苦にしない走りだった。弊社の馬柱でも重の巧拙は◎となっていたが、これは通常の◎よりもワンランク上の“ドングロ”(◎の小さい方の丸の中が塗りつぶされた印)にしなければならないレベル。これで春の天皇賞への路線を歩むことになるだろうが、こういった馬場になればチャンスは十分あるはずだ。

トゥインクル

雨の中、一頭違う脚色で快勝したトゥインクル(撮影:日刊ゲンダイ)

 フェイムゲームは、国内での直近の出走となる昨春の天皇賞からプラス14キロの馬体。調教過程でも、もう1、2本欲しいと思えた仕上りだったが、直線で猛然と勝ち馬を追いかけての2着確保は、地力の成せる業だった。道中は後方からラチ沿いを追走したが、スムーズに運べていて、力をうまく引き出した鞍上の好騎乗。勝ち馬とは4.5キロのハンデ差があったことを思えば、同一重賞3連覇こそならなかったが、天皇賞へ向けて順調なステップを踏んだと言える。

 3着ファタモルガーナは、上位2頭に水を開けられたとはいえ、直線で開いたインを突いて巧く立ち回ることができた。これまでにも3000m超の重賞で3度の2着があるマラソンランナーであり、8歳を迎えたとはいえ、今回のような時計のかかる馬場やメンバー次第では、長距離重賞制覇のチャンスはあるはずだ。

 4着タンタアレグリアは、1周目の3コーナーで少しゴチャついた以外はスムーズに運べていた。直線でも十分に手応えがあったように見えたが、追い出されて本来の伸びがなかったのは、持ち前のキレ味が削がれる道悪がダメなのか、デキは良さそうに見えても久々は走らないタイプなのかのどちらかだろう。いずれにしろ、次は見直しが必要だ。

 連勝中で3番人気に推されていたモンドインテロは、これほどの道悪経験がなく、距離も未知だったことを思えば、少し人気になり過ぎだったか。直線でフットワークが乱れていたあたり、道悪にも距離にも問題があったと思える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

有馬記念特集

2024年有馬記念特集

有馬記念の結果、動画、出走馬一覧、単勝オッズ、歴代優勝馬、騎手・調教師データ、歴史などを紹介する特集ページです。出走馬一覧には、単勝オッズやデータを合わせて掲載。

  • 特別登録
  • 予想オッズ
  • 想定騎手
  • 優勝馬名
  • 優勝騎手名
  • レース動画

優馬 2歳馬チェック

優馬 2歳馬チェック

6月~12月に初勝利をあげた2歳馬を全頭チェック! 馬体は? 血統は? レース内容は? 総合的に判断をし、★評価をつけていきます。翌年のクラシック有力候補がきっと見つかるはず!

★5つ以上の馬を網羅。ダービー候補はこの馬!

ヒロイン候補が続出!? 牝馬の★評価。

注目勝ち上がり馬情報など毎週月曜か火曜更新。

トラックマン・記者一覧

競馬専門紙「優馬」トラックマン・記者一覧

平日はトレセンで東奔西走、週末はレース予想&馬券に全力投球。競馬専門紙「優馬」を支えるトラックマン&記者のプロフィールをご紹介します。