タイトルホルダーは凱旋門賞へ向け「ケアが必要」 6着エフフォーリアは「これで終わる馬では」

佐藤直文 レース回顧
宝塚記念

更に進化した姿を見せて タイトルホルダーが次なる夢の舞台へ

 まだ6月だというのに記録的な猛暑に見舞われた先週末。人が暑けりゃ馬も暑い。猛暑日となった東京ほどではなかったにしろ、30度を超える暑さの中でのレコード決着は、好走馬のみならずそれ以外の馬にとっても、かなりの消耗となったはずだ。秋へ向けて十分なケアが必要となるだろう。

 タイトルホルダーは、前半1000m57秒6のハイペースを余裕の手応えで2番手追走。4コーナーではほぼ馬なりのまま先頭に並びかけ、追い出されて抜け出すと後続を寄せ付けず、全く危なげのない完勝だった。これまでは逃げた時しか勝っていなかった馬だが、控える形でもこれだけのパフォーマンスを見せたのは、進化の証し。あとは短い期間で巧くケアして、万全の状態で凱旋門賞へ挑むことを願うだけだ。

タイトルホルダー

ファン投票1位のタイトルホルダーが完勝で3つ目のGIタイトルを獲得

 2着ヒシイグアスは、好スタートから中団の前目で手応え良く追走できたのは、それだけデキも良かったからこそだろう。直線でもしっかりと脚を伸ばし、完璧なレース運びであったが、1頭だけ次元の違う馬がいただけのことだ。

 3着デアリングタクトは、外を回る形よく差を詰めたが、本来は直線の長いコースでこその馬であり、復調は十分に示す走りだった。

 4着ディープボンドは、今日の厳しい流れの中で、勝ち馬に勝負を挑んで崩れなかったのは着順以上に評価できる内容と言えた。

 5着マイネルファンロンは、直線でアワヤのシーンを作ったのは、それだけ力を付けている証拠。まだまだどこかでチャンスがあるはずだ。

 エフフォーリアは、激しく発汗していたあたり、課題の輸送をクリアできたとは言い難く、道中の手応えの悪さからも状態が本物ではなかったと見るべき。秋へ向けて、どう立て直して行くかだが、もちろんこれで終わる馬ではないはずだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。