「思い通り」にフェーングロッテン 6着ボーンディスウェイは「少し構え過ぎ」

佐藤直文 レース回顧
ラジオNIKKEI賞

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全くロスのない立ち回りで フェーングロッテン

 新型コロナウイルスや地震の影響により3年ぶりでの有観客開催となった福島競馬。芝は開幕週らしい絶好の馬場となり、何を置いても内が有利であったが、特にコーナー4つの中距離戦ではなおさらであり、このレースにおいてもロスのない立ち回りができたか否かが勝負の明暗を分けたと言える。

 フェーングロッテンは、前走のような逃げの手も選択肢にあったかと思われるが、中団のインに控えて折り合いを付ける形。道中もピッタリと内を回って勝負どころでポジションを上げると、4コーナーでは逃げ馬の直後まで進出し、直線を向いて逃げ馬の外に進路がないと見るや、ラチと逃げ馬の間の僅かなスペースをついて鮮やかに抜け出したもの。全くロスのない立ち回りができたことが最大の勝因だが、自己条件でも大敗を喫していたほど気性面での難しさがあった馬が、ブリンカーの着用により鞍上の思い通りの競馬ができるようになった結果がここに集約されたと言えるだろう。

フェーングロッテン

松若騎手の手綱捌きも光ったフェーングロッテンが重賞初制覇

 2着ショウナンマグマは、前半1000m58秒8という速めのラップを刻みながらも、勝負どころで自身は息を入れて後続には脚を使わせることにより、渋太く粘り込んだ形。前走のプリンシパルSでは全く力を発揮できなかったが、右回りとこの距離で持ち味を生かし切ったと言える。

 3着サトノヘリオスは、折り合い重視だったとはいえ、結果的にはもう一列前で運びたかったところ。ゴール前の伸び脚は目立っていただけに、少しもったいない競馬だったか。

 4着ソネットフレーズは、今日の厳しい流れの中を前目で運んで崩れなかったあたりは能力を示したと言えるが、ベストはやはり1600mの馬だろう。

 5着ゴーゴーユタカは、大外枠から終始外を回る形で4コーナーも大外。今日の馬場では最も厳しい競馬を強いられた形だ。

 ボーンディスウェイは、同様に外を回る厳しい競馬だったが、本来はもう少し前で競馬ができる馬であり、少し構え過ぎた感を受けた。ベジャールは、手応え良く好位を追走できていたが、直線では余力がなかった。斤量もあったかと思われるが体調が伴っていなかったと判断できる。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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