【アイビスSD回顧】菜七子スティクスが善戦 「いつもの」外枠決着、しかし“いずれは”

佐藤直文 レース回顧
アイビスサマーダッシュ

いつかこの日が来ると信じて ビリーバー

 外ラチ沿いの大集団を尻目に、内ラチ沿いに4頭の集団。海外競馬では珍しいシーンではないものの、圧倒的に外有利の新潟直線1000mにおいては、中々お目にかかれない光景であった。ただ、昨年もインをピッタリと回ったバカラクイーンが3着、土曜の最終レースでも同様の競馬を試みた馬が4着するなど、少なくともまだ内が荒れていない開幕当初の馬場であれば、けっして無謀な戦法ではないだろう。まして単走ではなく4頭の集団ができたのなら、今回は外の組に凱歌が上がったとはいえ、いずれは内ラチ沿いの勝者が現れるかもしれない。

 ビリーバーは、好スタートを決めた上で外の2頭を前に行かせて自身はピッタリと外ラチ沿いをキープ。スムーズな追走から、残り1ハロンで2着馬の内が開くやいなや、そこへすっと潜り込む理想的な形で鮮やかに抜け出した。54秒を切る決着では少し厳しい馬だが、一昨年にも54秒5で3着と好走していた馬であり、好枠を引いて54秒4の決着であれば、何ら不思議のない快走と言えるだろう。

ビリーバー

16番枠スタートのビリーバー(中央)が優勝。馬だけでなく、騎手、調教師、馬主も重賞初制覇

 2着シンシティは、この上ない絶好枠を引いて、スピードを存分に生かす自分の競馬ができたが、今日のところは勝ち馬を褒めるしかない。ただ、直線競馬への適性の高さは完全に証明した形だ。

 3着ロードベイリーフは、内めの枠からスタート直後に馬群の最後方から外へ進路を確保。進路を探しつつではあったが、巧く馬群を縫って脚を伸ばしたもので、これまた直線競馬への適性を示した走りだった。

 4着レジェーロは、ハナを切った2着馬の後ろのポジションに収まって、最後はフラフラしながらも、絶好枠を生かし切った形。

 5着スティクスは、内枠から腹をくくってインを選択したが、単走ではなく集団になったこともあって最後まで渋太く粘り込んだもの。枠順に恵まれれば、来年はチャンスがあるかもしれない。

 ヴェントヴォーチェは、外めの枠から序盤は理想的なポジションで運べていたが、巧く馬群を捌くことができず内へ外へ進路を探しながらのゴール。完全に脚は余っており、今日のところはリズムが悪過ぎたと言える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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