【菊花賞回顧】まさに“肉を切らせて骨を断つ” アスクビクターモア「VSタイトルホルダー」への期待

佐藤直文 レース回顧
菊花賞

大消耗戦をハナ差で制した アスクビクターモア

 ブリンカーを着けたセイウンハーデスが、ガンガン飛ばして1000m通過は58秒7。同じように前半が速かった昨年を1秒3も上回るラップだったが、その昨年はそこから一気にペースが緩んだのに対し、今年は13秒台のラップが8ハロン目にあるだけで、近年稀に見るほどの消耗戦になったと言える。結果的に阪神3000mのコースレコードが21年ぶりに塗り替えられる決着となったわけだ。

 アスクビクターモアは、この流れでの2番手追走は、かなり厳しい競馬だったはず。ただ、自らの手で瞬発力勝負ではなく持久力勝負に持ち込んだ、いわゆる“肉を切らせて骨を断つ”競馬で、最後はハナ差まで詰め寄られたものの、底力を示す強い内容だった。タイプ的に近い昨年の菊花賞馬タイトルホルダーとの対決も楽しみになったと言えよう。

アスクビクターモア

追撃凌いだアスクビクターモア(橙帽)がレコードタイムでラスト1冠を獲得

 2着ボルドグフーシュは、序盤は後方でジックリと脚を溜め、3~4コーナーの勝負どころで手応え良く進出。流れも向いたとはいえ、この距離でも最速の上がりを使えたのはステイヤーの証明だったろう。惜しむらくは今年の舞台が阪神であったこと。明らかに京都の方がいいタイプであり、来春の天皇賞はこの馬もまた楽しみだ。

 3着ジャスティンパレスは、外枠から上手く内に潜り込んで、持ち味の自在性を生かしたレースぶり。ラストも2着馬と併せる形で勝ち馬に迫ったが、最後に伸び負けたのは距離適性の分だったか。

 4着ドゥラドーレスは、2着馬とほぼ同じポジションから勝負どころで馬群の外を回る形となって、4コーナーでは大外。そのロスがなくても届かない着差ではあったが、2000mまでしか経験がなかったことを考えても、仕方のない結果だったか。

 ガイアフォースは、最内枠を利して道中もいい位置でロスなく立ち回り、折り合いも付いていたが、勝負どころで手応えが怪しくなって直線でも前走のような脚が使えなかったもの。距離の壁と見ていいだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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