力の違いを見せたゴールドアクター 春の天皇賞でも好演必至

佐藤直文 レース回顧
日経賞

盾でも主役は譲らず ゴールドアクター

 暮れの有馬記念出走馬が、ここをステップに春のGI戦線を目指すとともに、実力に恥じない好走をする例が多いが、今年は少頭数ながら有馬記念の1・2・4・11着馬がズラリと揃った。その着順通りではなかったが、上位人気はその4頭。これにディサイファを加えた人気5頭が、道中も先頭から5番手までで運ぶ珍しい形だったが、中盤でペースが淀んだ有馬とは少し違って、テンからスローの流れ。完全な瞬発力勝負となったにもかかわらず、奇しくも有馬記念通りの入線順となった。

 ゴールドアクターは、積極的にスタートを出して行き、おそらく最大のライバルと踏んで、サウンズオブアースをピッタリとマークする形。乗りやすかったもといえるが、戦法的にもベストの運び方だったろう。直線では坂を上がってから突き放す着差以上の完勝であり、少なくとも今後もサウンズには負けないのでは、と思える勝ちっぷりであった。正直、調教内容も一息での余裕の仕上げに見えたし、今回のような瞬発力勝負は分が悪いのでは。しかも2キロの斤量差を考えればサウンズ相手に厳しい戦いとなると見ていたが、これはもう力の違いを証明したと言える。良化も見込める天皇賞では、当然主役を演じることができるはずだ。

ゴールドアクター

グランプリホースの実力をまざまざと見せつけたゴールドアクター(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着サウンズオブアースは、これで6度目の重賞2着。そういう馬だと言ってしまえばそれまでだが、意識的に前で運ぶ正攻法の形。福永騎手も、有馬記念を見る限り、ゴールドアクターより前で運んでの瞬発力勝負なら負けない、という自信があったと思えるが、想像以上に相手が一枚上だったということだろう。

 3着マリアライトは、コーナー6回の中山2500mは折り合いも付けやすく、ピッタリの舞台に思える。今回は有馬よりも控えて前を見る形で運んだが、有馬がフロックではなく牡馬のトップクラスとも伍して戦える実力をアピールしたと言える。

 4着アルバートは、序盤で少し持って行かれ気味になっていた。小回りよりは広いコース、距離ももっとあっていいタイプで、けっして中山2500m向きではない。このメンバーで勝ち馬以外に本番で可能性があるとしたら、この馬かもしれない。

 5着ディサイファは、目下絶好調と言えるデキの良さではあったが、基本的に前走の2200mがギリギリの馬。2500mは明らかに長い印象を受けた。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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