【セントライト記念回顧】モレイラはテン乗りでも「完璧」 ソールオリエンスは不利もあり「完敗」
春の主役にリベンジを果たし レーベンスティールが秋の主役に躍り出る
過去10年でここを勝って本番の菊花賞を制したのはキタサンブラックのみだが、それ以前となるとシンボリルドルフまで遡らなければならない。ただ、本番に結び付かないというわけでもなく、最近2年はここで敗れた馬が菊花賞馬となっている。向正面から長くいい脚が要求されるコースで、距離以上のスタミナや底力、そして真の強さが求められる一戦であることを認識しておかなければならない。
レーベンスティールは、先行・好位勢を前に見ながら中団前目のインでピタリと折り合って運ぶ形。4コーナーでもスムーズに外へ持ち出すと、後ろから来る2着馬も意識しながらワンテンポ追い出しを遅らせて力強く抜け出した形だ。テン乗りで完璧に乗りこなした“マジックマン”モレイラ騎手の手綱捌きもお見事だったが、デビュー戦でクビ差惜敗した2着馬に借りを返す勝利。春は大舞台に届かず、断然の支持を集めていたラジオNIKKEI賞でも3着に取りこぼしていたが、改めて世代トップレベルの能力を示すとともに、ラスト一冠を手繰り寄せるかのような快勝劇であった。
2着ソールオリエンスは、厳しい外目の枠順で最初の1コーナーでは掛かり気味に馬群の外を回る形となった上に、4コーナーでも外へ振られる致命的な不利。勝ち馬にこそ完敗したとはいえ、しっかりと2着を確保した内容自体はけっして悪くはなく、次へ繋がる競馬はできたように思う。
3着シャザーンは、スタートを決めて前目で流れに乗る春とは全く違う競馬。仕上りの良さも目に付いて力をフルに発揮できたと言えるが、上位2頭とは力の差だったろう。
4着セブンマジシャンは、道中は勝ち馬を前に見る形で巧く運べていたが、直線でスッと離されたあたりは、これまた力の差。最後まで渋太く脚を使えていたという点では、今後に望みを繋ぐ走りだったか。
5着キングズレインは、道中シンガリの位置から内を回って押し上げる競馬だったが、長く脚を使った分、坂を上がって脚色が鈍ってしまった形。まだ色々と課題がありそうだ。
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