【天皇賞秋回顧】“ホーリックス以来の衝撃”でイクイノックス 6着ドウデュースは「武豊だったとしても」

佐藤直文 レース回顧
天皇賞(秋)

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驚愕の1分55秒2 イクイノックスが異次元の強さで連覇達成

 電光掲示板に示された“1.55.2”の数字。これだけの衝撃を受けたのは、2が4つ並んだホーリックスのジャパンカップ以来だったろうか。前半1000m通過が57秒7と極端なハイペースにもかかわらず、後半は57秒5と道中スローペースでないとマークできないような驚異的な上がりの速さ。こんなラップはもちろん見たことがない。

 イクイノックスは、王者の風格を感じさせる落ち着き払った佇まいで、大逃げの展開を後方から運んだ昨年とは違い、3番手からピタリと折り合って“来るなら来い”の正攻法。直線で馬なりのまま先頭に立ち、追い出して右ムチを一発、そして勝利を確信して気を抜かせぬよう左ムチを一発。単なる連覇達成ではなく、強さのレベルを数段階引き上げての勝利には、“恐れ入りました”と言うしかない。あとは反動がなく4週後を迎えられるか、だけだろう。

イクイノックス

異次元のパフォーマンスを見せたイクイノックスが日本レコードで完勝

 2着ジャスティンパレスは、後方から自分の競馬に徹したことで、勝ち馬に勝負を挑んだ馬たちが最後に苦しくなる展開にも恵まれた。ただ、この距離で父を彷彿とさせるキレ味を見せたことは、今後にも繋がるはずだ。

 3着プログノーシスもまた、2着馬同様に後方から無駄に動かずに直線勝負を選択。最後は2着馬に伸び負けたものの、力は十分に示す走りだった。

 4着ダノンベルーガは、直線で外へ持ち出すことができなかったが、勝ち馬を追って一旦は2番手のシーン。最後は苦しくなってしまったが、負けて強しの内容だった。

 5着ガイアフォースは、道中2番手から後続を待たずに自ら勝ちに行く競馬。これまた最後は一杯になったが、正攻法での強い内容だった。

 ドウデュースは、ポジションを取りに行って勝ち馬をマークする形だったが、道中で脚を使ってしまうと持ち味を生かすことができないタイプ。急遽の乗り替わりの影響もあったと言えるが、たとえ脚を溜めて運んでいたとしても、今日の勝ち馬には敵わなかったであろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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