【アメリカJCC回顧】キング&“厩舎力”でチャックネイト 5着マイネルウィルトスの逃げには「疑問符」

佐藤直文 レース回顧
アメリカJCC

ゴール前で闘争心が再点火 全てが噛み合ったチャックネイトが重賞初制覇

 当初は雪の予報まであった週末の中山だが、何とか雨で収まってくれたものの、不良馬場に。ただでさえ消耗戦になりやすい外回り2200mで、これだけの重い馬場ではより一層タフさが問われる一戦となった。

 チャックネイトは、本来はジックリと脚を溜めて運んで決め手を生かすタイプだが、瞬発力が削がれる馬場を見越して好位のポジションを取り切ったのは、キング騎手の好判断だった。直線を向いてからも一旦は2着馬に先を越されながら、ゴール前で闘争心を再点火させた手綱捌きもまた見事。2ヶ月半ぶりながらキッチリと仕上げてきた厩舎の力も称賛に値するものであり、全てが噛み合っての重賞初制覇となった。

チャックネイト

同じ勝負服2頭の争いとなったゴール前、最後わずかに出たチャックネイトがV

 2着ボッケリーニは、勝ち馬を目標に3コーナー過ぎから仕掛けて動いて行き、直線では完全に勝ちパターンに持ち込んだ形だったが、最後の最後でスタミナが切れてしまったか。ただ、内容的には相当強い競馬だった。

 3着クロミナンスは、今日の馬場が決して向いているとは思えなかったが、ルメール騎手がこの状況で発揮できる力を最大限の引き出したと言えるもの。7歳馬だが休養期間が長かったこともあって馬は若く、まだチャンスはありそうだ。

 4着モリアーナは、折り合い重視で後方から運び、直線では大外から目立つ伸び脚。稍重程度まで馬場が回復していれば、勝ち負けになったかもしれない。

 5着マイネルウィルトスは、最内枠で包まれるのを嫌ったかもしれないが、やはりハナへ行くのは墓穴を掘るようなもの。もう少し構えて運んで欲しかったところだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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