【桜花賞回顧】「さすがモレイラ」の完勝も、オークスは再び混戦? 下位組にもいる“逆襲候補”

佐藤直文 レース回顧
桜花賞

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満開の桜の下で 暮れの借りを返したステレンボッシュ

 暮れの阪神JFがレースレコード決着。のみならず、トライアルのチューリップ賞とフィリーズレビューもレース歴代2番目のタイムだったものであり、今年の3歳牝馬はかなりのハイレベルだ。しかも、一頭抜けた馬がいるわけでもなく全体のレベルが底上げされた形であり、今日のメンバーの中からもいずれは牡馬一線級と互角に戦える馬が複数出てくるはずだ。

 ステレンボッシュは、枠順も近かった阪神JF勝ちの2着馬をマークする形で運び、勝負どころでは馬群で動きづらいポジションだったが、4コーナーでは外に膨れ気味だった相手の内に進路を確保。このあたりは、さすがに“マジックマン”モレイラ騎手のテン乗りとは思えぬ手綱捌きだったが、直線で一気に抜け出して先頭に立ってからも、全く危なげのない着差以上の完勝だった。阪神JFでは勝ち馬を上回る末脚を発揮しながら、位置取りの差で2着に甘んじた印象を受けたが、力負けではなかったことを証明した形であり、血統的には今後の距離延長も望むところと言えるだろう。

ステレンボッシュ

2番人気のステレンボッシュが阪神JFの雪辱を果たし牝馬1冠目をゲット

 2着アスコリピチェーノは、プラス10キロの馬体増も太目感はなく成長分だったと考えていいが、4コーナーでの微妙なロスがやはり痛かったか。それでもしっかりと脚を使っての2着確保は強い内容だったと言える。

 3着ライトバックは、4コーナー最後方からメンバー唯一となる32秒台の上がりを駆使して2着馬にクビ差まで迫った。折り合い面に課題は残るものの、キャリアを積んでの伸びしろに期待できる馬であり、キズナ産駒なら距離も延びていいはずだ。

 4着スウィープフィートは、直線でスムーズに進路を確保できなかったが、よく差を詰めた形。デビューから2ヶ月以上の休みを取らずの7戦目で、上積みに乏しかったことを考えても、これが精一杯だったか。

 5着エトヴプレは、道中2番手で我慢が利いて、直線でも2着に残れるか、と思わせる見せ場十分の内容。一流のスプリンターに育つ可能性も高い。

 クイーンズウォークは、枠なりに内をロスなく立ち回ったが、直線では弾けなかった。クイーンCを勝ったとはいえ、デビューから2戦が1800mだったように、マイル適性自体がどうかとも思われ、オークスでは変り身があっていい。チェルヴィニアは、大外枠から道中でジワッとポジションを上げて4コーナーで射程圏に取り付いたが、直線で追われて動けなった。ただ、ローテーションや直前での鞍上交替など情状酌量の余地はあり、このあと順調であればこれまたオークスでの逆襲も期待できる。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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