【新潟2歳S回顧】コートアリシアンら人気馬の「敗因」は? 鍵となった“折り合い”と“距離適性”

佐藤直文 レース回顧
新潟2歳S

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若駒らしからぬ勝負根性で トータルクラリティが見事に差し返す

 ただでさえスローペースになりやすい新潟マイルということもあって、若駒にとっては折り合いが鍵となるレースだが、今年も半マイル47秒7、1000m通過が59秒7と、スローとは言えないまでも落ち着いた流れ。スムーズに走り切れた馬は少なかったように思う。

 トータルクラリティは、イレ込んではいたがレースではリラックスした走り。ペースが緩んだところで行きたがる素振りは見せたものの、鞍上が抑え込むのに苦労したデビュー戦と比べても、折り合い面でしっかりと変わり身を示した。直線では抜け出してから内にモタれ、その隙をついた2着馬に前へ出られたが、体勢を立て直してから渋太く脚を伸ばしての見事な差し返し。レース前のテンションも含めてまだ課題は残るものの、着差以上の強さであり、距離延長にも対応できそうだ。

トータルクラリティ

バゴの牡駒トータルクラリティがデビュー2連勝での重賞制覇

 2着コートアリシアンは、出遅れを挽回しようとして折り合いを欠いてしまい、序盤は鞍上が宥めるのにかなり苦労していた。それでも直線では一旦先頭に立って突き抜けるかのシーン。最後には追い負けたが、道中で力んでしまった分だったか。後続には3馬身の差を付けて、力は十分に示したと言える。

 3着プロクレイアは、折り合い重視で後方からジックリと運び、直線では進路を探しつつ長くいい脚を使い、自分の競馬はできていたか。

 4着マジカルフェアリーも、後方から直線勝負に徹して脚を伸ばしたが、もう少し距離が欲しいタイプだろう。

 5着ジョリーレーヌは、道中は枠なりにロスなく立ち回り、直線で外へ持ち出して差を詰めたが、最後まで伸び切れなかった印象。

 スターウェーブは、直線で内から一旦は上位争いに加わったが、デビュー勝ちが1400mだったこともあってか、最後に止まってしまった。シンフォーエバーは、二の脚を利かせてハナに立ったあとは落ち着いた流れに持ち込むことができたが、最後はバッタリ。酷暑の下での中2週だったのに加え、タイプ的にも短距離向きか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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