連覇ベルカント! 究極仕上げのネロを“昨年以上の強さ”で粉砕

佐藤直文 レース回顧
アイビスサマーダッシュ

連覇達成 そして今年も夏の女王へ ベルカント

 過去の勝ち馬には直線1000mのスペシャリストが名を連ねているが、これまで連覇を達成したのは、08、09年のカノヤザクラのみであった。賞金別定戦で、前年より確実に斤量が増えることを考えれば、連覇のハードルは結構高いレースである。

 そんな中で見事に連覇を達成したベルカント。昨年とは違って内目の4番枠だったが、スタートを決めて抜群のダッシュで早目に外へ。相手はネロ一頭と絞ったかのようなレースぶりだったが、抵抗する相手に対してアタマ差だけ前に出たところがゴールであった。走破タイムは昨年と同じ54秒1ながら、昨年の2馬身差という圧勝でなかったのは、前述したように斤量が1キロ増えていた点と、2着馬が絶好の大外枠から力を出し切った分と見ていい。そういった逆風を考えても、昨年以上に強さを示す勝利だったと言えるかもしれない。

ベルカント

昨年以上の強さを見せたベルカント(青帽)が連覇を達成(撮影:日刊ゲンダイ)

 ネロは、ここで待望の重賞制覇を、との思いが伝わってくるほどの究極の仕上げに見えた。大外枠という運も味方に付け、自分の競馬に徹して持ち味を最大限に生かしたレースぶりであったが、これで負けたのは仕方がないだろう。

 3着プリンセスムーンは、ベルカントネロを目標に運んだのと同じく、ベルカントを見る形で進めたが、走破タイムを考えてもここまでだったか。ただ、序盤でベルカントが外へ寄せて行った時に、鞍上がスッと引いてしまったのが惜しまれる。脚を溜めて差すイメージだったのだろうが、あそこで抵抗してベルカントの外で運べていたら、結果も変わっていた可能性がある。

 4着アットウィルは、3着から2馬身という決定的な差を付けられたものだが、初の直線1000mで適性を示したことは確か。オープン特別のレベルならこの舞台でもチャンスがある。

 5着ローズミラクルは、韋駄天Sではネロにアタマ差だったものの、当時は3.5キロもハンデを貰っていただけに、同斤量の今回はこの結果も納得できる。

 過去2年連続で3着だったアースソニックは、持ち時計だけ走ることができなかったが、年齢的なズブさもあって絶好枠を生かすことができなかった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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