【毎日王冠回顧】「かなり遅いラップ」後方勢は出番なく 10着ローシャムパークは「気合も不足」

佐藤直文 レース回顧
毎日王冠

勝ち切ったことに意義がある 心身ともに成長を示したシックスペンス

 隊列が早々と定まって坦々とした流れになり、1000m通過は開幕週の馬場としてはかなり遅い59秒4のラップ。結果としてレースの上がり3ハロンが、11秒3―11秒0-11秒4では、後方待機組に出番はなく、4コーナーを5番手以内で回った馬が掲示板を占める形となったのも当然と言えた。

 シックスペンスは、プラス14キロの数字だったが、太目というよりも芯が入ってきたという印象を受ける馬体。ダービーとは一転して、今日のスローな流れでもピタリと折り合って運んだあたり、精神面での成長も窺えた。ただ、追われて思いのほか弾けなかったのは、前が楽だったせいもあるが、やはり久々の分だろう。それでも勝ち切ったあたりが能力であり、次はもっと良くなるはずだ。

シックスペンス

残り200mからの伸びで前を捉えた3歳馬のシックスペンス

 2着ホウオウビスケッツは、この上ない絶妙のペース配分での逃げ。ゴール前で勝ち馬に捕まったが、3着以下は完全に封じており、目下の充実ぶりを示す走りだった。

 3着エルトンバローズは、昨年にGI馬たちの追撃を凌いだことを考えれば、今年のメンバーならこれくらい走って当然だったが、持ち直してきたとはいえまだ完全に状態が戻り切ってはいないか。

 4着ヤマニンサルバムは、内枠を利して上手に立ち回ったが、これまた久々のせいかエンジンのかかりが遅かった印象。

 ダノンエアズロックは、勝ち馬を前に見る形で運んだが、直線を向いて一気にペースが上がったところで置かれてしまった。ただ勝ち馬同様、次は良くなりそうだ。ヨーホーレイクも、同じような位置取りだったが、直線向いてヨーイドンの瞬発力勝負では分が悪く、距離も2000m以上欲しい馬だろう。ローシャムパークは、パドックや返し馬でも気合い不足で、これまた瞬発力勝負へ対応できなかった形。今日のところは久々もあったとはいえ、今後に向けては不安の残る走りだったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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