【チャンピオンズC回顧】「不思議な力」がウィルソン強襲を退けた? 王者レモンポップが連覇で締め括る

佐藤直文 レース回顧
チャンピオンズカップ

強いままで去る王者 レモンポップ

 前年の1~3着馬が、そのまま同じ着順での決着となるのは、平地GIとしては初めてのことらしい。ただ、昨年はコンマ2秒あった1・2着馬の差が今年はタイム差なしのハナ差に詰まったのは、それだけ2着馬の成長があったということであり、勝ち馬の強さに翳りが見えたわけではない。

 そのレモンポップ。スタートを決めて枠の並びの差もあって先頭で最初のコーナーへ。以降は絡まれることもなく、1000m通過こそ昨年よりコンマ1秒速かったが、同じ逃げでも大外枠からハナを取りに行った昨年よりも楽な展開であった。最後は2着馬の強襲に遭ったとはいえ、上がりも昨年の37秒3を上回る36秒9と、走りのレベルを上げたもの。どう転んでも不思議のないハナ差の決着で引退の花道を飾ったのは、何か“持っている”としか言いようがない。

レモンポップ

レモンポップ(右白帽)が2着馬の強襲を際どく退け有終の美を飾った

 2着ウィルソンテソーロは、鞍上こそ違ったが昨年同様の後方待機策から豪快に伸びて勝ち馬を追い詰めたもの。もう少しペースが流れていれば、届いていたか。

 3着ドゥラエレーデは、2番手で運んだ昨年とは全く違う競馬だったが、最後に内に突っ込んで脚を伸ばすことができたのは、中京巧者の証明だろう。

 4着ハギノアレグリアスは、一緒に内を突いた3着馬には伸び負けたが、年齢的な衰えは見せておらず、来年もタイトル奪取のチャンスはありそうだ。

 5着ペプチドナイルは、自分の競馬に徹して勝ち馬に勝負を挑んだが、最後は力の差が出てしまった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。