【中山金杯回顧】4番人気でも「力が違った」アルナシーム 4着クリスマスパレードは「課題残した」

佐藤直文 レース回顧
中山金杯

一気の距離延長も何のその アルナシームが新境地を開く

 昨年の暮れから高速状態をキープしている馬場に加え、1000m通過も58秒7の適度な流れとなったことにより、決着タイムはレース史上2番目となる1分58秒1。勝ち馬には展開も向いたことは確かだが、状態面を含めた目下の充実度で優っていた感も受けた。

 そのアルナシーム。内枠もあってか、藤岡佑騎手も“思ったよりも一列うしろ”と振り返った序盤の位置取りだったが、適度な流れでリズム良く運び、勝負どころからは抜群の手応えで馬群を捌いて直線へ。坂上で突き抜けると、力の違いを示すかのようなゴールシーンだった。これまではマイルから1800mを主戦場としてきた馬だが、秋2戦のマイルから一気の距離延長を選択した陣営の判断もまた見事。明けて6歳を迎えたが、新たな活躍の場を見出して、この先も楽しみになるパフォーマンスだった。

アルナシーム

久々の2000m戦で目の覚めるようなパフォーマンスを見せたアルナシーム

 2着マイネルモーントは、展開が向いて持ち味を生かし切った形だが、これまで4戦パーフェクト連対だった中山コースの巧者ぶりもアピールしたと言える。

 3着ボーンディスウェイは、自分の競馬ができたと言えるが、4着だった昨年から着順を上げて時計も短縮。それだけ力も付けていることの証明だろう。

 4着クリスマスパレードは、パドックからチャカチャカしていて、今までにないハナを切る競馬。それを考えれば、この着順でも力は示したと言っていいが、調整の面で課題を残す形となった。

 ホウオウビスケッツは、斤量以上に枠も厳しかった印象。有馬記念を目標に仕上げて、状態を保つことも難しかったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。