【NHKマイルC回顧】大波乱は「暴走ラップが全て」も アドマイヤズーム“大敗”には別の要因も

佐藤直文 レース回顧
NHKマイルカップ

大波乱決着を生んだ超前傾ラップで パンジャタワーが見事にハマる

 テンの3ハロンが33秒4、その後もペースが緩まず1000m通過は56秒4という暴走気味のハイラップ。前の組にとってはひとたまりもない展開が全てを物語る結果となった。

 パンジャタワーは、中団での追走となったが、1400mでの京王2歳S勝ちが示す通り今日のような速い流れにも対応し、しっかりと脚を溜めることができていた。調教での動きも抜群だったように、状態面の良化も著しく、大舞台で最高のパフォーマンスを見せたように思う。

パンジャタワー

9番人気パンジャタワーが頭差・ハナ差の接戦を制してGIタイトルを獲得

 2着マジックサンズは、最後方に近いポジションから直線でインに潜り込んでの猛追。最後は僅かに届かなかったが、持ち味は生かし切っていた。

 3着チェルビアットは、道中は勝ち馬の内で同じような位置取りだったが、最後は馬群を捌いてよく差を詰めた。ゴール前の脚色は一番だったものであり、着差を考えても本当に惜しかった。

 4着モンドデラモーレは、直線で勝ち馬に交わされてからも渋太く脚を使って、持てる力は発揮できたように思う。

 5着ランスオブカオスは、前の組には厳しい流れだったことを思えば、掲示板確保はそれなりの評価ができるだろう。

 イミグラントソングは、最後に失速もやむを得ない流れが全て。アドマイヤズームにも同様のことが言えるが、パドックでは落ち着いていたものの返し馬の段階では制御不能に近いイレ込みがあった。今日のところは気性的な脆さも出てしまったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。