【しらさぎS回顧】8分のデキで「力を示した」2着チェルヴィニア 最低人気コレペティトール“激走の因”は?

佐藤直文 レース回顧
しらさぎS

馬群を一気に切り裂く瞬発力 キープカルムが金星ゲット

 GI2勝のクラシックホースに重賞3勝の実績を誇る歴戦の古馬。この時期の新設のGIIIとしてはかなり豪華なメンバー構成となったが、レースの上がりが33秒9という究極の瞬発力勝負となった中で、一際目立っていたのが勝ち馬の末脚だった。

 そのキープカルム。枠なりに中団のインで折り合いを付けて脚を溜め、直線を向いても無理に外へ持ち出さず、進路を探しながらの競馬だったが、追い出しを待たされたというよりも、それだけ手応えに余裕があったのだろう。坂井騎手の落ち着いた捌きにより、進路が開いてからは一気に突き抜けての快勝だった。オープンへの昇格後はあと一歩の競馬が続いていたが、今日の脚は本物と言えるものであり、マイル戦であれば次も期待できそうだ。

キープカルム

瞬発力勝負を制した5番人気のキープカルムが重賞初制覇

 2着チェルヴィニアは、海外遠征帰りの2ヶ月半ぶりで、良くて8分のデキだったが、57キロを背負って今日の競馬は改めて力を示すもの。マイルにも対応できたことで、今後の選択肢も広がりそうだ。

 3着コレペティトールは、最低人気での激走だったが、障害練習の効果以外に好走の因を見出すことは難しいか。

 4着ダイシンヤマトは、直線でインをすくって見せ場十分の競馬。目下の充実ぶりを示す内容だった。

 5着デビットバローズは、道中2番手から直線で先頭に立つシーンもあったが、そもそも瞬発力勝負では少し厳しい馬だ。

 レーベンスティールは、久々の分もあったろうが、やはりマイルは距離不足だったか。シヴァースは、5着馬同様に今日のような瞬発力勝負では持ち味が生きない馬だろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。