マイペース逃げで混戦を断ったマスクゾロは “大きいところを狙える器”

佐藤直文 レース回顧
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怪傑ぶりを発揮して 重賞初制覇マスクゾロが更なる高みを目指す

 昨年は、アウォーディーが重賞初制覇を達成してダート界に新星誕生をアピールしたが、今年もまた、新たなスター出現の期待を抱かせる組み合わせとなった。レースは落ち着いた流れで、上位人気馬が揃って前目で運ぶ形。そして上りが36秒4という瞬発力勝負になっては、後方待機馬には出番がなくて当然であった。

 マスクゾロは、ハナへ行く形となったが、特に主張したわけではなく、枠なりにいいポジションを取りに行ったら何も絡んでこなかったもの。その分、スムーズに折り合ってのマイペースとなり、最後の叩き合いでも後続を凌ぐことができたように思う。5歳秋での初重賞制覇となったわけだが、2度にわたる長期の休養で出世が遅れていただけの話で、まだまだ大きいところを狙える器だろう。

マスクゾロ

後続の追い上げを凌いだマスクゾロ(白帽)が初重賞制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ピオネロは、審議対象にもなった直線で勝ち馬がヨレたことで不利を受け、それでクビ差まで迫ったのだから惜しかったと言えるが、ダートに転じてまだ3戦目であったことを考えても立派な内容だった。こちらも重賞初制覇の日は、そう遠くないはずだ。

 3着アポロケンタッキーは、以前に見られていたテンにもたつく面も見せず、好位で流れに乗れていた。自身が4ヶ月半の休み明け、加えて1・2着馬より重いハンデを背負っていたことを考えれば、一番強いのはこの馬と言えるかもしれない。

 4着ミツバは、メンバー唯一となる上がり35秒台の脚を使って差を詰めたものだが、今日の流れではここまでが精一杯。ただ、流れ次第では重賞でも勝ち負けできる力を示したと言える。

 5着カゼノコは、8ヶ月ぶりの久々でのトップハンデで、これまた流れが向かなかったことを考えれば、よく走っている。一叩きされて、次走の変わり身に期待したい。

 先行した上位人気勢の中で、唯一失速する形となったキョウエイギアだが、もっとガンガン行って上がりのかかる競馬に持ち込むのが理想の馬であり、今日のような瞬発力勝負になっては分が悪い馬。ただ、それでもここまで大きく負ける馬ではないはずで、今回は仕上りにも問題があったか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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