雨中の追い込み 道悪適性を生かして伏兵キョウヘイ 

佐藤直文 レース回顧
シンザン記念

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雨の京都に大波乱劇 怒涛の追い込みキョウヘイ

 降り続く雨により、レース直前に稍重から重へと馬場が変更され、1分37秒6の決着タイムが示す通り、道悪の適性が問われる一戦となった。加えて、レースの上がりが38秒1という流れでは、明らかに前の馬にはキツかったと言えるだろう。

 キョウヘイは、出遅れて置かれる形となったが、その分、脚を溜めることができたか。首の高い走りではあるが、重馬場の前走で最速の上がりをマークし、荒れ馬場の小倉2歳Sでも末脚が目立ったように、道悪の適性は十分。直線でトップスピードに達した時に、前もポッカリと開いて、脚の上がった馬たちをあざ笑うかのように抜け出した形だ。展開や馬場に注文の付くタイプとはいえ、今日のように条件さえ揃えば、今後も目が離せない。

キョウヘイ

後方追走から直線ゴボウ抜きで優勝したキョウヘイ(黄帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着タイセイスターリーは、外枠から自分のペースを守って運び、凡走した前走から鮮やかに巻き返した形。川田騎手の負傷で急遽の乗り替わりとなった武豊騎手だったが、揉まれない競馬で本来の能力を引き出したあたりはさすがである。

 3着ペルシアンナイトは、直線で窮屈になるシーンがあったとはいえ、今ひとつ弾けなかった。今日のような馬場では持ち味が生きないとも思えるが、1600mは基本的に短い馬かもしれない。

 4着トラストは、今日のような馬場はピッタリであり、前の馬にはキツい流れだったことを考えても、よく走ったと言える。ただ、今回に限ったことではないが、行くなら行くでハナへ、控えるならもっと下げて、という方がいいと思える馬であり、中途半端なレース振りを続けるなら“掲示板止まり”から脱却できないのではないか。

 5着マイスタイルは、直線半ばではオッと思わせる見せ場十分の内容。これまた前走で道悪を経験したことが生きたか。

 アルアインは、勝ち馬とは対照的に、直線でトップスピードに入りかけたところで前をカットされる不利。手応えを考えても、あれがなければ勝ち負けまであったと思えただけに、着順は度外視していいだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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