猛稽古アメリカズカップが雨に笑う 2着サトノは変わらず“クラシック級”

佐藤直文 レース回顧
きさらぎ賞

鞍上の好判断も光った アメリカズカップ

 雨で水分をたっぷり含んでの重馬場で、1分50秒1という決着タイムもレベルの問題ではなく、良馬場と比べても2~3秒はかかって当然の状態だったように思う。結果も、能力通りというわけではなく、道悪に対応できたか否かが勝負の明暗を分けたと言えるだろう。

 アメリカズカップは、前走の朝日杯FSが出遅れて全く自分の競馬ができなかったのに対し、今回はスタートを決めたことが第一の勝因だろう。猛稽古を消化して、前走からマイナス12キロとクラシック本番並みに体を作ってきたことも、ここにかける陣営の意気込みが表れていたと言えるが、瞬発力が削がれる馬場で早めに仕掛けて抜け出すという鞍上の好判断も光ったように思う。

アメリカズカップ

早め先頭から快勝したアメリカズカップがクラシックに名乗り(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着サトノアーサーは、序盤こそ口を割るシーンも見られたが、折り合いは付いていた。大トビで今日のような馬場は完全にマイナスの馬であり、鞍上も下を気にして大事に乗っていた印象。良馬場ならおそらく人気に応えていたと思えるし、素晴らしい馬体からもクラシック級の評価は覆らない。

 3着ダンビュライトは、持ち前の渋太さを最大限に発揮して、一旦は厩舎の親子丼かと思えたほど。これまた、勝ち馬との併せ馬で意欲的に調教を消化してきたことで、前走からの大幅な変わり身を見せたと言えよう。

 4着プラチナヴォイスは、道中2番手から直線で早目先頭の形だったが、終始ノメっていた。2歳時にこの舞台でのレコード勝ちがあるように、良馬場こそのタイプだろう。

 5着エスピリトゥオーゾは、出遅れて後方から運び、直線で大外へ持ち出されるとそれなりの伸びを見せた。自己条件に戻れば上位争いできるレベルだ。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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