馬体がボリュームアップ! 良血開花トーセンビクトリー

佐藤直文 レース回顧
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パワーアップして次のステージへ トーセンビクトリー

 今の少し時計がかかる馬場を考慮しても、1分49秒4は平凡な決着タイム。ただ、前半1000mが62秒4という遅いペースでは仕方なく、後方待機組には出番のない流れだったと言える。

 そんな中で、好スタートを決めてスッと好位のインに収まったのがトーセンビクトリーだったが、前に馬を置く形でスムーズに折り合い、直線でも開いたスペースを手応え良く抜け出しての快勝。鞍上の巧みな捌きもさることながら、母や兄たちが有馬記念で好走していたように、初の中山でもコース適性の高さを示したと言える。今後は、ヴィクトリアマイルが目標となるが、大敗した昨年から馬体が大きくボリュームアップしているだけに、軽くは扱えない存在となりそうだ。

トーセンビクトリー

鞍上のエスコートも見事だったトーセンビクトリー(黒帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着マジックタイムは、遅い流れを見越して早目に動く形だったが、大外を回ってここまで差を詰めたのだから立派の一言。これで引退となるのは残念だが、母として素晴らしいキレ味を産駒に受け継いで欲しい。

 3着クインズミラーグロは、最内枠を利して道中は勝ち馬の後ろのポジションでスムーズに折り合えていた。52キロの軽ハンデも生かして、直線でも馬群を割ってよく伸びたが、決め手の差でここまでだった。

 4着パールコードは、好スタートを決めてペースを考えれば絶好と言える位置取りで流れに乗れていたが、不利な大外枠だったことに加えて、この距離は正直短かったか。それでも崩れなかったあたりは、地力の証明と言えるだろう。

 5着デニムアンドルビーは、前述したように、道中は出番がなくて当然の位置取りだったが、これまた掲示板に載せたあたりが地力の高さを示すもの。もう少しペースが流れて上がりがかかる展開になれば、7歳馬でもまだまだやれる。

 ビッシュは、中団の内で包まれながらもスムーズに外へ持ち出せたが、追われて本来の伸びを見せられなかった。今後へ向けては、馬体面での成長が望まれる。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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