道悪も斤量も何のその レッドファルクスが底力をアピール

佐藤直文 レース回顧
京王杯スプリングカップ

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本番の安田記念も上位争い レッドファルクス

 良馬場でのこのレースの水準タイムが1分20秒台前半であるのに対し、1分23秒2と3秒遅い決着タイム。1400mで3秒というのは、相当な道悪だったと言えるが、こういう馬場への適性はもちろんのこと、距離以上のスタミナを要求される競馬になった。

 レッドファルクスは、中団より後ろでの追走となったが、前から離されたわけでもなく、折り合い面も考えてもちょうどいい位置取りだったか。タフな馬場だった前走の高松宮記念3着が示すとおり道悪も不問で、初の58キロを背負っても最後はGI馬の底力をアピールした形だ。2走前の香港こそ、体調面の問題もあって惨敗したが、本格化以降は距離も馬場も問わず実に安定した走り。本番の安田記念も、超高速決着にでもならない限り、上位争いできそうだ。

レッドファルクス

外から鋭く伸びたレッドファルクスがGI馬の貫禄を見せた(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着クラレントは、3年前の2着は1分19秒台の高速決着でのものであり、特に道悪巧者というイメージはなかった馬だが、好位の外目から自分のペースで運んで、適度に上がりのかかる競馬も良かったか。普通は年齢を重ねると適距離も延びるものだが、この馬に限っては逆なのかもしれない。

 3着グランシルクは、自分の競馬に徹して直線でも外からよく伸びており、決め手が削がれる今日の馬場を考えればよく走っている。ただ、どうも東京コースでは最後に甘くなる感も否めない。

 4着ヒルノデイバローは、芝で脚質転換してブレイクしたとはいえ、ダートでの連対は全て逃げてのもの。最内枠もあって逃げの手に出た鞍上の好判断も光ったが、こういう競馬もできる馬だ。

 5着トウショウドラフタは、道悪巧者に加えて東京1400mはベストの舞台。それでも、今日の相手ではここまでが精一杯だったか。

 サトノアラジンは、道悪は鬼の部類だった姉のラキシスとは全く違うタイプで、今日のような馬場は空っ下手。大きく評価を下げる必要はないだろう。キャンベルジュニアは、陣営のコメントにも“トモの感じがもう一つ”とあったが、トモがパンとしていない馬は道悪は基本的にダメである。加えて、掛かる気性の馬ではあっても、距離短縮がプラスにならないタイプだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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