鞍上津村が好プレー! インからスルリとウインガニオン

佐藤直文 レース回顧
中京記念

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重賞初挑戦で一発ツモ ウインガニオン

 中京最終週の芝は、見た目にも内が荒れていて、実際に他のレースでは外を回った馬同士の決着も見られたのだが、内を通った馬も結構伸びるという特殊な馬場で、しかも速い時計が出る状態。コースロスなく立ち回った先行馬が、1分33秒2という、マイル戦となった2012年以降の最速タイムで駆けたのであれば、後続が沈黙したのも仕方ないと言える。

 ウインガニオンは、同型馬の逃げにも全く動ぜず、離れた2番手の絶好位を追走。もともとがハナにはこだわらない馬だけに、自分のペースで理想的な競馬できたように思う。直線を向いて、他馬が馬場の中ほどに持ち出すのを尻目に、インぴったりを回って後続を突き放したのも、津村騎手の好プレーだった。早目にプレッシャーを受ける小回りコースよりも、直線の長いコースでフルに力を発揮するタイプであることを、改めてアピールした形だ。

ウインガニオン

3連勝で重賞初制覇を果たしたウインガニオン(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着グランシルクは、思ったより前の中団で運べたのは、ここ2戦で1400mを使った効果もあったのだろう。直線で馬場の外目に持ち出されて、この馬なりにしっかりと脚は使えており、けっしてこれまでのような甘さが出た2着ではない。いずれチャンスは訪れるはずだ。

 3着ブラックムーンは、レース後のジョッキーコメントでは“馬が進んでいかなかった”とのことだが、その時点で腹をくくって直線でもインを狙ったのは、ある意味、計算通りだったのではないか。離され過ぎだったのと、前も止まらなかったことで届かなかったが、これまた仕方のない3着だ。

 4着アスカビレンは、流れに乗って自分の競馬はできていたが、2着馬のような鋭い脚は使えず、ジリジリとしか伸びなかったもの。このあたりは現状での実力の差だろう。

 5着ダノンリバティは、上位馬の中では最も外を回るコースロスがあったが、もうひと工夫欲しかったところ。昨年と同じ着順でも、内容的には劣る結果だったように思う。

 マイネルアウラートは、好位で流れに乗って自分の競馬ができていたが、直線であれだけ失速したのは、体調面に問題があったとしか考えられない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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