展開ドンピシャ! 伏兵ラビットランが、勢力図を塗り替える直線一気

佐藤直文 レース回顧
ローズS

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本番も展開次第でチャンスあり ラビットラン

 台風の影響で当初は開催すら危ぶまれて前日発売が中止になったほどだったが、無事に施行できたばかりか、馬場も良に回復するとは、いい意味での誤算だった。馬場が渋っていれば厳しかったが、良馬場だったからこそ持ち味が生きた馬も多かったように思えたが、勝ち馬などはその最たる例だったろう。

 ラビットランは、初芝の前走が鮮やかな直線一気を決めたものだったが、これは芝適性のみならずそれ相応の能力なくしてはできない芸当だった。今回も適度な流れで展開がドンピシャにハマッたとはいえ、良馬場でのキレ味勝負ならこれだけ走っても何ら不思議はなかったと言える。ただ、理想は今日のようなコーナー2回のコースで、距離も1800mがギリギリかもしれず、本番では双方の克服が鍵となるが、展開次第では大いにチャンスもありそうだ。

ラビットラン

大外を鋭く伸びた8番人気のラビットランが優勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着カワキタエンカは、けっしてハナにこだわるタイプではないが、馬の行く気に任せて思い切ってハナへ行ったのが大正解。前半1000mは58秒6の平均ペースだったが、そこからペースを落とさずに後続に脚を使わせる形は横山典騎手ならではの絶妙の逃げだった。実際に、先行・好位勢が揃って馬群に沈んだという点でも、力は存分に示したと言える。本番は、もう少し速い馬に先に行かせて番手から、という形が理想となりそうだ。

 3着リスグラシューは、道中の位置は勝ち馬とさほど変わらなかったが、追われての反応が一息で、エンジンがかかったところがゴールだった印象。ただ、これは久々の分と見て良く、本番は変わってくるはずだ。

 4着ミリッサは、持ち味の生きる馬場になったのは良かったが、直線で進路を探しつつの形になり、まともに追えたのは残り100mを切ったあたりから。力を出し切れたとは言い難いが、これまた距離は1800mがギリギリかもしれない。

 5着メイショウオワラは、中団で流れに乗って直線でも見せ場はあったが、最後に追い負けたあたりは距離だろう。明らかにマイルがベストの馬だ。

 ファンディーナは、直線で2着馬を追う形ながら最後に突き放されてしまったが、これはプラス22キロの太目の造りで息切れしたものと見ていい。本番では確実に変わってくるだろう。モズカッチャンも自分の競馬はできていたが、やはり久々の分と見ていいか。対照的なのがレーヌミノルで、春以来の組では一番の好仕上りに映ったのだが、好位勢には厳しい流れだったことを考慮しても負け過ぎだった。本番へ向けても黄信号と言える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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