馬群に沈んだ実力馬たちを尻目に メイショウスミトモが波乱演出

佐藤直文 レース回顧
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期待以上の伸びでキッチリ メイショウスミトモ

 現行の2000mとなった2007年以降、トップハンデ馬が勝っていないレース。57.5キロで3頭が並びのトップハンデとなった今年こそは、その歴史に終止符が打たれるかとも思えたのだが…。

 メイショウスミトモは、前半1000mが61秒6というこの距離としては速めの流れを、いつもよりは前目となる中団のインで流れに乗る形。直線を向いてスムーズに外目に持ち出されると、期待以上の伸びを見せてキッチリと前を捕らえた。これまでは序盤はジックリと脚を溜めての末脚勝負、というパターンが多かった馬だが、今日のような立ち回りができるようなら、今後の重賞戦線でも目が離せなくなるだろう。

メイショウスミトモ

11番人気のメイショウスミトモ(黒帽)が差し切りV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ドラゴンバローズは、道中2番手での積極的なレース運びで、直線でも3頭横並びでの叩き合いから一旦は抜け出したもの。最後は勝ち馬の強襲に屈したが、初の重賞挑戦でこれだけ走れば立派であり、重賞に手が届く日もそう遠くはないだろう。

 3着ピオネロは、クビ差2着と好走した昨年と同じようなレース運びだったが、ハンデも同じ56キロだった割にはもうひと伸びがなかったか。ただ、上位2頭とも自身よりハンデの軽かった馬であり、コース相性の良さは示したと言える。

 4着トップディーヴォは、好位追走から直線を向いたあたりでは前のグループに一旦離されかけだが、直線半ばからよく盛り返していた。前走のオープン勝ちもけっしてフロックではなかったと言える。

 5着スリータイタンは、自分の競馬に徹して後方から運んだが、上がり3ハロンは最速の数字をマークして、らしさは見せた。8歳馬でも衰えた様子はなく、相手の軽いオープン特別で展開が向けばハマる可能性もあるだろう。

 前述したトップハンデの3頭はいずれも馬群に沈む形となったわけだが、昨年の覇者マスクゾロはこれまた同じハナに立つ形だったが、直線でアッサリと脱落したもの。ハンデも微妙に応えたのかもしれないが、逃げない方がいい馬なのではないかと思う。ミツバは、勝負どころで手応えが悪くなり、3角過ぎでは鞍上の手が激しく動きながら後退していた。これまた斤量の問題や軽いダートの方がいいのかも、という印象を受けたが、もともと好走と凡走の落差が激しいタイプで、買い時が難しい馬でもある。モルトベーネは、思い通りの好位のポジションで運べていたが、直線残り1ハロンで止まってしまった。距離が微妙に長いのかもしれないが、久々で体調の問題も大きかったと思える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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