山崎TM会心の◎に ダービーフィズ岩田康Jが会心の騎乗で応える

【佐藤直文 先週のレース回顧】
サマー2000シリーズの第2戦を兼ねた函館記念。近年は内めの枠が有利というデータ通りに、今年もまた3枠以内の馬が上位を占める結果となった。

佐藤直文 レース回顧
函館記念

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抜群の洋芝適性と絶好の立ち回りで ダービーフィズ 【函館記念】

 内情を晒すようだが、我々専門紙のトラックマンは、ダービーなど木曜日のうちに枠順が確定する一部のGIを除いて、全て枠順が決まる前に予想を済まさねばならない。枠順が大きく左右されるようなレースや馬であっても、決まってから予想を変更する時間的余裕はないのだ。まして、自信を持ってくだした決断(これは重賞でも未勝利戦でも一緒なのだが)を、枠順が出たあとでコロッと変えることができるほど、適当に印を打っているわけではない。ゆえに、“この枠を引くとわかっていたら◎を打たなかったのに”と、後悔することもしばしばある。

 先週組まれた唯一の重賞、函館記念は、私の回顧に先立って、山崎TMのコラム“北からヤマザキ”を日曜優馬の紙面から抄録してみたい。

『函館記念の本命はダービーフィズ。前走の目黒記念は1~3番枠の馬で1~3着、4着が逃げ馬で5着が道中3番手追走の馬。内を立ち回った馬・先行馬が優勢だった。そういう展開の中、発馬で躓いて、15番枠で道中外を回るロスを考えると情状酌量の余地がある。洋芝は得意な血統。鞍上はソツのない騎乗をする岩田康J。内めの枠も◎』

 そんな山崎TMが思い描いた通りの競馬でダービーフィズが勝ったわけだが、マイネルミラノが刻んだ1000m通過58秒6のラップは、少し渋り気味の馬場を考えればかなりの速いペースであり、本来は差し馬向きの流れであったはずだ。ただ、結果的には早目に仕掛けた馬、3コーナー過ぎから前を掴まえに動いた2~4番手の馬が上位を占めた形に。瞬発力比べではなく、タフな洋芝の適性がより問われる競馬となった。中でもダービーフィズは、道中でインをロスなく立ち回ったものであり、実力を考えれば恵まれた54キロのハンデも良かったと言える。

 2着ハギノハイブリッドは、瞬発力比べの前走(新潟大賞典)と比較すれば、これまた高い洋芝適性を示したもの。最後は勝ち馬と馬体を併せての競り合いとなったが、2キロのハンデ差があったことを考えれば、勝ちに等しい内容だったと言える。

 3着ヤマカツエースも、上手な立ち回りで、一気の距離延長を克服したという点でも、これまた洋芝の適性を示すもの。そしてまた、最内枠も良かった。

 4着エアソミュールは、意識的に控える競馬だったが、少し位置取りが悪過ぎたか。鞍上も早目に仕掛けていたが、それでもアクセルは踏み遅れ。ハンデも微妙に影響したと言える。

 昨年の勝ち馬ラブイズブーシェ、3角過ぎに手応えが怪しくなったデウスウルトといったあたりは、まだ本来のデキに戻っていなかったと判断していい。

 そして、マイネルミラノが実は私の◎であった。場別で予想スタッフの違う優馬では、紙面上に私の印は掲載していないのだが、ラジオなどの放送がある以上、冒頭で記したように枠順発表前に予想を済ませている。しかし、やはり大外枠がキツかった。ある程度のハイペースで飛ばして好走の過去もある馬だが、重賞で序盤に脚を使わされてしまってはこの結果も仕方ない。内目の枠を引いて、前走のようなマイペースで運べていたら、結果も違ったものとなっていたはずだが…。会心の予想であった山崎TMとは好対照で、“この枠を引くとわかっていたら…”という後悔の、いい例であった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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