ノビノビ走って豪快に差し切った カツジが本番の主役候補へ

佐藤直文 レース回顧
ニュージーランドT

これまでとは違う競馬で真価 カツジ

 この日の中山は、良馬場ながら強風が吹き荒れるコンデションで、特に向正面あたりでは向かい風になっていたことを考えれば、1000m通過59秒1のラップもけっして遅い流れではなかった。加えて、内目が少し緩んで外からの差しが利く馬場であった。

 カツジは、後方でジックリと脚を溜めるこれまでとは違う競馬だったが、位置取りに関係なく自分のリズムを守り、馬群の外目をノビノビと走れたことで、ディープインパクト産駒らしい末脚を生かし切った。前述したように外差し有利の馬場であっても、あれだけ外を回って長くいい脚を使えたのだから、これは本物の強さ。持ち味がより生きそうな本番の舞台でも期待できるだろう。

カツジ

カツジ(赤帽)が外から豪快に差し切り重賞初V(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ケイアイノーテックは、外枠もあってかある程度のポジションを取りに行く形。本来はもっと脚を溜める形の方がいいのかもしれないが、この馬も力むことなくノビノビ走れたことで、最後も勝ち馬とは馬場の内外の差だけだった。これまた、ジックリ運べる東京マイルの方がいい馬だろう。

 3着デルタバローズは、道中は枠なりにインを進んで直線こそ馬場の中ほどに持ち出せたが、上位2頭はさらに外。最後まで渋太く脚を伸ばしての権利獲得であり、本番でも馬場が渋ればチャンスはあるかもしれない。

 4着ゴールドギアは、パドックでも良く見えていた馬だったが、勝ち馬と同じ競馬でなかなかの脚を見せた。思い切って脚を溜める競馬が合っていると思えるし、自己条件に戻れば2勝目も時間の問題だろう。

 5着アイスフィヨルドは、インをピッタリと回って直線でもそれなりの脚を使っていたが、もう少し前のポジションで立ち回りたかったところだ。

 カシアスは、マイペースの単騎逃げだった割には踏ん張り切れなかったが、やはりマイルは長い馬なのだろう。リョーノテソーロは、溜めて行く競馬で自身の脚は使えていたが、他の馬もそれ以上の伸び。そうキレるタイプではないので、もっと前で競馬をしないとダメかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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