ようやく覚醒サトノアーサー 秋は更なる上のステージで

佐藤直文 レース回顧
エプソムカップ

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好位からの競馬で待望の重賞V サトノアーサー

 日曜の東京は朝からの雨が次第に強まり、良馬場スタートだった芝もメインの時点では重馬場にまで悪化した。ただ、レースとしてはスマートオーディンが果敢に飛ばす予想外の展開もあってペースは流れ、道悪の巧拙を抜きにすれば力通りの勝負になったように思う。

 サトノアーサーは、絶好のスタートを決めて前々での競馬。これまでは折り合い重視で後方から運ぶ形が多かった馬だが、テン乗りの戸崎圭騎手が先入観を持たずに好位で流れに乗せたことが、まずは最大の勝因と言えるだろう。先週までのイン有利の高速馬場では圧倒的に不利だった大外枠も、今日に限っては有利だったか。これが待望の重賞初制覇となったわけだが、クラシック候補と謳われた素質馬がこれだけスムーズな走りができたのなら勝って当然のメンバーでもあった。秋には大きいところも視野に入るだろう。

サトノアーサー

前目の位置取りから直線抜け出したサトノアーサー(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ハクサンルドルフは、後方から自分の競馬に徹して、直線でも少しエンジンが掛かるのが遅かったが、ラスト1ハロンからは目立つ伸び脚。少し脚は余したかもしれないが、持ち味を巧く発揮できたように思う。脚質から受けるイメージでは、道悪はプラスと言えない印象もあった馬だが、実際に昨秋の東京でも不良馬場での勝利があるように、思いのほか道悪巧者だったと言える。

 3着グリュイエールは、序盤は出して行って少し力むシーンもあったが、ちょうど勝ち馬を前に見る形の中団で、これまた巧く流れに乗れていた。直線でもよく食い下がって一旦は2着確保かと思わせたが、最後は伸び負けした形。ただ、長期休養明けからの2戦目でこれだけ走れば、重賞を勝つだけの力はあると見ていい。

 4着サーブルオールは、直線で馬場の外目に持ち出す馬が多かった中で、巧く内をついてよく伸びたもの。古馬になっての重賞初挑戦だったが、この馬もまた長期のブランクがあり、まだまだこの先が楽しみと言える。

 5着エアアンセムは、スタートは悪くなかったが、道中でポジションが下がって4コーナーでは後方の位置。脚が溜まっていた分、直線ではそれなりの伸びを見せたが、上位とは力の差があったか。

 ダイワキャグニーは、カキ込みの力強い走りから、道悪も大丈夫かと思われたが、これだけ進んで行かないのは適性がなかったということだろう。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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