マテラスカイが驚愕のレコードV 千四までならしばらく「敵なし」

佐藤直文 レース回顧
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圧倒的なスピードで マテラスカイ

 前日までの雨が適度に乾いて馬場が締まり、最も速い時計の出るダートコンディション。ただ、それを差し引いても、コースレコードはおろか従来のJRAレコードを1秒2も更新する1分20秒3の決着タイムは驚愕の数字だ。ドバイで世界を相手に健闘した勝ち馬のスピードは本物だったと言える。

 そのマテラスカイ。速い馬が揃っていた上に外枠を引いたのはけっして楽な状況ではなかったが、スタートの芝の部分で鋭いダッシュを決めてあっという間にハナへ。テンの3ハロン33秒5は、芝短距離戦並みのハイラップだったが、直線を向いてスッと差を広げたあたりも武豊騎手の巧さで、後続に全く隙を見せない完勝だった。ベストはあくまで1200mの馬だが、1400mまでならしばらくは敵は現れないだろう。そう思えるほどの強さであった。

マテラスカイ

マテラスカイが日本レコードで重賞初制覇(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着インカンテーションは、例によって芝スタートで行き脚が付かず、道中は後方で運び、直線で何とか馬群を捌いて地力で2着を確保した形。ただ、前を追いかけて進出する形になっても、最後まで渋太く脚を使える馬であり、そういう競馬ができていれば、勝つまでは無理としても、もう少し差を詰めることはできたはずだ。

 3着ウインムートは、今日の速い流れでも2番手から運び、直線で勝ち馬に一気に突き放されながらも、最後まで渋太く粘ったもの。相手次第では、重賞にも手が届くだけの力を付けている。

 4着サクセスエナジーは、内で砂を被る厳しい競馬だったが、直線でしっかりと脚を使って2着争いに加わった。58キロを背負っていたことを考えても、目下の充実ぶりを示す内容だった。

 5着ブラゾンドゥリスは、今まで経験したことのない速い流れでの3番手から、崩れずに踏ん張ったもの。今後につながる競馬ができたように思う。

 ドリームキラリは、ハナへ行けなかったというより、無理せず好位に控えた形だが、やはりハナへ行って気分良く走らせる方がいいタイプだろう。キングズガードは、後方から自分の競馬に徹したが、ハイペースながら上がりも速い馬場では、届かないのも仕方がなかった。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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