2つ目のタイトルはレコードのおまけ付き 小倉大好きトリオンフ

佐藤直文 レース回顧
小倉記念

まだまだ成長望める トリオンフ

 小倉の芝は、施行レースがともに少ない距離だったとはいえ土日で1鞍ずつレコードが出ていたほどの高速馬場だったが、それにしても1分56秒9のレコードは凄いタイムである。しかも、前が速いペースで引っ張ってくれて、というのではなく、2番手からの早目先頭でこの時計を叩き出した勝ち馬は、掛け値なしに強かったと言える。

 そのトリオンフ。1000m通過は60秒0と、馬場を考えれば完全なスローペースだったが、後半1000mで56秒9というのは並みの馬では出せない数字だ。しかも、上がり3ハロンは、11秒1-10秒9-11秒5だったのだから、これでは後続も成す術がなくて当然だった。テンに行って好位を取れるセンスに加え、道中の折り合いや勝負どころの反応など、どれを取っても小倉コースに必要とされる資質を持ち合わせた馬だが、セン馬らしくまだまだ成長も望めるだけに、秋の中距離路線でも楽しみな存在になったと言える。

トリオンフ

小倉巧者ぶりをまざまざと見せつけたトリオンフ(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着サトノクロニクルは、勝ち馬を前に見る形の好位で運べていたが、向正面あたりから鞍上の手が動き出したにもかかわらず、持ったままの勝ち馬に離されてしまった。ただ、手応えの割りに直線で渋太く伸びて2着に浮上したあたり、現状ではもう少し距離があっていいのでは、と思えた。

 3着マウントゴールドは、勝ち馬には完敗したとはいえ、スローな逃げが打てたこともあり、交わされてからも止まらなかったもの。力は付けており、相手次第ではGIIIならチャンスはあるはずだ。

 4着レイホーロマンスは、後方からジックリ運んで、久々にこの馬らしい伸びを見せたが、今日の相手ではここまでが精一杯だった。

 5着ストーンウェアは、スパッと斬れるタイプではないので、小回りを意識していつもより前目で流れに乗ったのは正解だったと言えるが、いずれにしろ今日の流れでは、これまた掲示板が精一杯だったか。

 サンマルティンは、折り合い重視で後方から運んだが、今日の流れでは出番のない位置取りだった。2走前の福島記念で大外枠から前に壁が作れず凡走したケースがあったが、この馬にとっては外枠も良くないのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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