王者の脚でファインニードルが春秋連覇 暮れには香港でリベンジを

佐藤直文 レース回顧
スプリンターズS

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着差以上に示した力の違い ファインニードル

 朝の時点での重発表から午後には稍重に回復していたが、レース直前に強まった雨により、実質は重と言っていい馬場だった。そんな馬場状態を考えれば、テンの3ハロン33秒0は明らかに速いペースであったが、かと言って展開を味方に付けた差し・追込勢が決め手を生かせる馬場でもなかった。

 ファインニードルは、中団の前目で先行勢を見ながらという絶好のポジション。3コーナーを過ぎての勝負どころで鞍上の手が動き出した時点では反応も一息に見えたが、直線で馬群の外に持ち出してからは本来の伸びで、自分の競馬をした上で、着差以上に力の違いを示す勝利であった。春の高松宮記念と比べてマイナス10キロの馬体も、むしろこのくらいがベストなのかもしれず、精神的にもタフになって今日のような馬場も全く苦にならなかったのだろう。暮れには是非とも香港で春のリベンジを期待したいところだ。

ファインニードル

ゴール直前でキッチリと前を捉えたファインニードル(青帽)(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着ラブカンプーは、2番手追走から直線では外から並びかけてきたナックビーナスを競り落として、一旦は完全に抜け出したもの。最後はセントウルSのプレイバックとなったが、今日の厳しい流れと着差を考えれば本当に良く走っている。賞金順の17番目が同一馬主のキングハートだったことで、回避するかもという話も出たほどだったが、使い詰めながらそれだけ状態も良かったのだろう。

 3着ラインスピリットは、好位のインで脚を溜め、直線では少し追い出しを待たされるシーンもあったが、2着馬を追うように伸びたもの。時計のかかる馬場も良かったのだろうが、さすがは4000勝ジョッキーと言える好騎乗だった。

 4着ダイメイプリンセスは、道中は勝ち馬の一列後ろの一列後ろの位置取りだったが、4コーナーで巧くインを突いてポジションを上げ、坂を上がってからの伸び脚も目立っていた。前走に続いての1200mでの好走で、もう明らかに直線専用馬ではなくなっている。

 5着レッツゴードンキは、後方から直線勝負に賭ける自分の競馬。直線を向いたあたりで一旦は勝ち馬の直後というシーンもあったが、伸びは今ひとつで、少し往年の力に衰えも見える印象を受けた。

 ナックビーナスは、好位3番手からの競馬となったが、鞍上に促されての追走で、いつもよりも行きっぷりが悪かった。直線で馬体を併せた2着馬に突き離されたのもその分と言えるが、今日のような馬場も基本的には良くないのかもしれない。レッドファルクスは、年齢的なものか一層ズブくなっていた。今日の位置取りで外を回る形では出番がなくて当然だったが、これまた往年の力を望むのは酷だったかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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