道悪になれば本番でも メイショウテンゲンが人気勢を嘲笑う

佐藤直文 レース回顧
弥生賞

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さらに距離が延びても… メイショウテンゲン

 朝から降り続いた雨により、芝は9レースの時点で稍重から重へと変わった。その9レースでは道中で内を回った先行勢が1・2着という結果だったが、そこから更に悪化が進み、おそらく重馬場でも不良に近かったと言える。この馬場で前半1000m61秒8のラップも速かったろうが、やはり馬場の内外でかなりの差がある状態で、内枠の馬たちにとっては厳しい状況だった。

 メイショウテンゲンは、スタートが一息で枠なりに馬群の外目を追走する形だったが、結果的にはこれが最高の運び方だったか。良馬場が理想のタイプが多いディープ産駒ながら、今日のような馬場も全く問題なくこなせたことは大きく、消耗戦でスタミナを証明したという点でも、さらに距離が延びていい印象も受けた。本番の皐月賞も昨年のような馬場になれば、大いにチャンスがあるだろう。

メイショウテンゲン

道悪を味方につけた8番人気メイショウテンゲンがV(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着シュヴァルツリーゼは、これまたスタートで挟まれて後方から運ぶ形となったのが結果オーライで、ジックリと脚を溜めることができた。馬場が悪かったこともかえってストレスのない競馬に繋がった感を受けたが、展開も外差しの馬場も味方したとはいえ、ラストの伸びは目を惹き、まだキャリア1戦での走りだったことを考えても先々が楽しみである。

 3着ブレイキングドーンは、2着馬同様に後方で脚を溜めての直線勝負。最後は伸び負けしたとはいえ、力の要る馬場は合っているタイプだろう。

 4着ニシノデイジーは、馬場の悪い内目を終始通ったという点ではけっして力負けではないと言えるが、前走と同じく折り合い重視で運びながらもかなり掛かり気味での追走で、これは今後も最大の課題となりそうだ。

 5着カントルも、馬場の悪いところを通って勝ちに行った内容自体はけっして悪くはなかった。今日のような馬場もいいタイプではなく、良馬場で改めて注目したい。

 ラストドラフトは、けっして楽ではなかったペースや馬場適性の差があったのはもちろんのことだが、逃げの戦法自体も良くなかったのではないだろうか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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