実況泣かせのゴール前 見事にハマッた田辺&フラアンジェリコ

【佐藤直文 先週のレース回顧】
秋競馬の開幕週とはいえ、東西の日曜メインはサマーシリーズの最終戦。中山の京成杯オータムハンデキャップは、ゴール前の大接戦を伏兵フラアンジェリコが制した。阪神のセントウルステークスは、ハナを切った3歳馬アクティブミノルが、これまたゴール前で4頭横一線となった中で、逃げ切っての大金星となった。

佐藤直文 レース回顧
京成杯オータムハンデセントウルS

圧巻のシンガリ一気 フラアンジェリコ 【京成杯オータムハンデキャップ】

 開幕週の絶好の芝で、発表も良馬場であったが、中間の降雨の影響で少し緩んだ状態。1分33秒3という決着タイムを考えても、どの馬でも来れるチャンスがあった一戦だ。実際に、7着までがコンマ1秒差、シンガリまでもコンマ9秒差と、ゴール前は実況泣かせの稀に見る大接戦であった。

 そんな接戦を制したのは、先週の新潟記念に続いての7歳馬、フラアンジェリコ。なかなか間隔を詰めて使えないタイプで、今回も2ヶ月ぶりであったが、うまく仕上げられていた。こういった適度に時計のかかる馬場も合っていたと言えるが、何より、シンガリからの直線一気でこの馬の持ち味を最大限に引き出した田辺騎手の手綱捌きが見事だった。半兄が6歳でGI高松宮記念を制したオレハマッテルゼで、遅咲きの血が開花したとも思えるが、今後も条件さえ合えば重賞戦線での活躍が見込めそうだ。そして、優馬紙上で敢然と◎を打っていた守屋TMが、記者席でいい“声”を出していたことも付記しておく。

フラアンジェリコ

ハンデ戦らしく横一線となったゴール前、制したのはフラアンジェリコ(緑帽、撮影:日刊ゲンダイ)

 2着エキストラエンドも、近走内容から少し衰えがあるのかと思われた6歳馬だが、勝ち馬とは4キロのハンデ差があってのハナ差負けであり、力は存分に示したと言える。これまでの良績が東京と京都に集中していた馬で、中山では届かないイメージもあったが、そういう意味でも収穫は大きく、今後のマイル路線でも目が離せない。

 ヤングマンパワーは、前走の関屋記念に続いての3着好走だが、コースも競馬の質も違うレースでのものだけに、本当に力を付けたと言える。ただ、何かもう一つ身に付けないと、常に善戦止まり、という形が続きそうで、そのあたりが今後の課題だろう。

 4着グランシルクは、少し緩めの仕上げで、久々の影響で道中の走りにも力みが見られた。一度叩かれたことで、次は大きな上積みがありそうだ。

 アルビアーノは、7着とはいえコンマ1秒と、それほど負けていないのだが、最後に瞬発力勝負となったのが痛かった。もっと流れる展開で、後続にも脚を使わせる競馬が理想だろう。ダローネガは、4角好位で手応えは良かったのだが、追って意外に弾けなかったもの。結果論ではあるが、今日の流れではもっと積極的に運んだ方が良かったのではないか。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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