武豊50代最初の重賞V 百戦錬磨の「腕」で後続金縛り

佐藤直文 レース回顧
日経賞

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ジャンルの垣根を超えた盟友へ贈る熟練の技 武豊メイショウテッコン

 前半1000mの通過ラップが62秒7。稍重発表の馬場状態を考えても明らかなスローペースだったが、後続も動くに動けない金縛りの状況に陥れたのは、後の菊花賞を降して重賞勝ちのある逃げた馬の実力と、百戦錬磨の鞍上の腕。まさに逃げ切って当然の展開だった。

 そのメイショウテッコン。向正面で痺れを切らしたエタリオウが並びかけてくると、スッとペースを上げたあたりが武豊騎手の熟練の技であった。そこまでの十分な貯金を生かしてラスト5ハロンから1ハロンまでの800mを11秒台のラップで刻んだのなら、後続は成す術がなかったと言える。菊花賞では掛かったしまった馬にとって、天皇賞はリベンジマッチとなるが、やはりGIで今日のような立ち回りを演じるのは至難の業であり、3200mという距離自体も本質的には長い気もする。

メイショウテッコン

絶妙な逃げを打ったメイショウテッコンが重賞2勝目(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着エタリオウは、結果的には早仕掛けだったとはいえ、勝ちに行くなら動いて行かざるを得ない局面。むしろ、時すでに遅しとすら言えたかもしれない。ただ、今日のところは久々の分もあり、本番の天皇賞へ向けては視界良好の一戦となっただろう。

 3着サクラアンプルールは、スローペースもあってか道中は好位のインでロスのない立ち回り。中山巧者らしい器用さを見せた。8歳馬だが能力的な衰えも感じられないだけに、まだまだやれるだろう。

 4着ハッピーグリンは、好位で流れに乗って直線でもしっかりと脚を使っていた。ジャパンCでも善戦していたように、このくらいの距離が合っていると言える。

 5着ゴーフォザサミットは、展開を考えればもっと粘れていい馬だが、馬体増ほどの太目感はなかったとはいえ、やはり叩き良化タイプのであり、次は変り身が見込めるだろう。

 ルックトゥワイスは、後方のインから道中で外へ持ち出すことができないまま終わった印象。“ハミが抜けず馬場も気にしていた”という鞍上のレース後のコメントを考えても、今日のところは全く競馬をしていない参考外の一戦と言える。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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