暴走ラップ 9着スマハマは「引く選択肢あった」 大敗インティは「厳しい」

佐藤直文 レース回顧
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激流でハマった豪快なマクリ ヴェンジェンス

 ハナに行きたい馬が揃っての先行激化はある程度予測できたが、3頭で雁行して1000m通過59秒0というのは、暴走と言っていいラップだった。当然、差し追込馬向きの流れとなったわけだが、これだけの速い流れでは仕掛けどころも難しく、上位馬にはその差も出たように思う。

 ヴェンジェンスは、序盤はジックリと脚を溜めていたが、縦長の展開になったことで最内枠でもストレスのない走りができていた。3コーナーから外を回ってのマクリは、下り坂を生かした京都コースならではの戦法でもあり、仕掛けのタイミングもドンピシャ。これまでは1400m戦を中心に使われてきた馬だが、今日のように長く脚を使った上で最後まで止まらなかったあたりは、この距離でも全く問題はないということだろう。

ヴェンジェンス

7番人気ヴェンジェンスが重賞初Vのゴール(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着キングズガードは、勝ち馬よりも仕掛けを遅らせた分、最後の伸び脚が際立っていた。別定56キロの斤量も良かったと言えるが、8歳という年齢を考えても頭の下がる走りだった。

 3着ウェスタールンドは、この馬としては早目の競馬で、4コーナーでも手応え良く好位に上がっていたが、外からトップスピードに乗っていた勝ち馬に抵抗ができなかった。最後もよく食らいついていたが、2着馬に交わされたのは骨折明けの分もあっただろう。このあと順調なら、目標のチャンピオンズCでも期待できよう。

 4着アングライフェンは、4コーナーでバテた馬を巧く捌けず脚を余したが、それでも3着とは5馬身差ならスムーズでもシーンはなかったか。

 5着ワイドファラオは、これまた4コーナーでゴチャ付く不利があったが、今日の流れを好位で運んでの掲示板確保は立派だろう。

 スマハマは、暴走ラップが全てで着順も度外視できるとはいえ、先々を考えても序盤で引く選択肢もあったのではないかと思う。インティも同様に度外視できる一戦で、結果的には引くのが遅かったと言えるが、やはり今後もマークされる戦いが続く中で展開に注文が付くというのはマイナス材料。叩いた次走でガラリ一変を望むのは厳しい気もする。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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