変幻自在、横山典のアシストで 完勝ムイトオブリガードが更なる高みへ

佐藤直文 レース回顧
アルゼンチン共和国杯

東京コースでは安定 ムイトオブリガード

 何も主張する馬がおらず、オジュウチョウサンがハナに立たされるほど、序盤からゆっくりとしたペースになり、1000m通過も62秒2。いわゆる上がりの勝負で、道中のポジションや直線を向いてのコース取りが明暗を分ける一戦となった。

 ムイトオブリガードは、スローを見越した鞍上がスタンド前から出して行って好位へ。この位置取りの良さが最大の勝因だったが、昨年は中団待機から最速の上がりを使って2着だった馬を、流れに応じて立ち回らせた横山典騎手の巧さが際立ったと言える。とにかく東京コースでは安定して走る馬であり、もうワンランク上の馬たちが相手でも、そう崩れることはないだろう。

ムイトオブリガード

昨年の2着馬ムイトオブリガードが今年は先頭でゴール(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着タイセイトレイルは、対照的にいつものように好位で運ぶことができなかったが、枠なりに内でジッとしていたのが良かったか。今の内が伸びる馬場を利して、よく追い上げることができた。

 3着アフリカンゴールドは、2着馬の一列前でジックリと脚を溜めていたが、直線を向いて少し進路を探すロスがあり、2着馬との差はその分だったか。

 4着ルックトゥワイスは、後方から外を回って差を詰め、ゴール前での伸び脚も目立っていたが、今日の上がりの勝負ではここまで。ただ、トップハンデを背負いながらも、力は十分に示す走りだった。

 5着トラストケンシンは、同じように後方から差は詰めたが届く流れではなく、ハンデ差を利してもここまでだったか。

 アイスバブルは、出遅れて最後方からの競馬になったのが全てと言えるが、直線でも全く伸びるシーンがなく、台風の影響で予定していたレースを使えなかった影響があったのかもしれない。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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