展開ピタリでエポカドーロが混戦を切る ダービーでは「もう一工夫」

佐藤直文 レース回顧
皐月賞

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後続でもがく人気馬を尻目に エポカドーロ

 心配された雨は朝の内に上がったが、終日曇りの天候もあって馬場の回復は進まず、発表も稍重のまま。そんな中で3頭が飛ばして前半1000m59秒2というのは明らかに速い流れであったが、そこから2秒以上も離れた4番手以下の馬群にとっては、平均どころかスローといっていいペースであった。その前3頭のペースに幻惑されたか、後方で運んでいた上位人気勢は揃って仕掛けが遅れてしまったと言える。

 エポカドーロは、マイペースで逃げているのと同じ形で、しかも自分のリズムを崩さずに前を追って行ける絶好の展開だった。今日のような馬場も苦にしないどころかピッタリと思えるフットワークで、恵まれた面はあったにしろ2着に2馬身差のセーフティリードなら、とてもフロックではなし得ない勝利だ。昨年までリーディングを争ったデムーロ&ルメールに今年は勝ち星で大きく水を開けられていた戸崎圭騎手だが、戦前から“ハナか番手で自分の競馬を”と話していたように、戦法に迷いのない騎乗ができたことも、勝利を引き寄せた要因だろう。ただ、距離が延びるダービーでは、おそらくもう一工夫が必要な馬であり、皐月賞は回避したダノンプレミアムの動向も含めて、ダービーを巡る争いも混沌としてきたと言える。

エポカドーロ

7番人気エポカドーロが悠々と抜け出し快勝(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着サンリヴァルも、勝ち馬の直後で運んで理想的な競馬ができた。ホープフルSも弥生賞も、最後は決め手の差で屈した形だったが、持久力の生きる流れになったことで、持ち味をフルに発揮したと言える。

 3着ジェネラーレウーノは、雁行状態で飛ばした3頭の真ん中というのは一番厳しい形ではあったが、上がり3ハロンで37秒4を要しながらも前半の貯金を生かし切った。これはこれで内容のある競馬だったように思う。

 4着ステルヴィオは、外枠もあってポジションが取れずに後方から。道中はちょうどワグネリアンを前に見る形で、そのライバルが動かなかったこともあってか、仕掛けが遅れてしまったものだ。加えて、距離的な不安もあって鞍上も早目に動くことができなかったのではないだろうか。直線では能力を示す脚を使っていたが、さらに距離が延びるダービーでも、仕掛けのタイミングが鍵となるはずだ。

 5着キタノコマンドールは、内枠から外へ持ち出すのに手間取って後方から運ぶ形となったが、4着馬とほぼ同じ位置取りから大外を回ってよく伸びていた。キャリアや距離延長を考えても、ダービーでの上積みがかなり期待できるはずだ。

 ワグネリアンは、完全に仕掛けが遅れたこともあったが、直線を向いてほぼ同じ位置にいた4~6着馬に追い負けたことを考えれば、敗因はそれだけではなかったろう。2週前こそビシっと追われていたが、先週と今週は軽目の追い切りだったあたり、調整に難しいところがあったか。ダービーでも、そのあたりに注意を払いたい。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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