菜七子騎手に惜しみない称賛を 「馬も人も成長」しての快挙

佐藤直文 レース回顧
カペラS

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展開不問、力が違った コパノキッキング

 午前中は稍重で少し水分が残るダートだったとはいえ、1分9秒3は良馬場でのレース史上最速タイム。この時計で走った勝ち馬は、まさに展開不問の強さを示したばかりか、58キロの斤量を背負っていたことを考えても、ここでは力が違ったと言えただろう。

 そのコパノキッキングだが、ここ2戦が逃げて結果を出してきたことから、ここも先に行きたかっただろうが、他の馬も速く道中は4番手から。ただ、フェブラリーSからの連続騎乗も6戦目となった鞍上の菜七子騎手は、慌てず騒がず落ち着いてスムーズに運んで手応え十分に直線を向くと、鮮やかに抜け出して見せた。地方交流重賞での経験が、馬の成長はもちろんのこと、鞍上もまた成長させたと思える勝ちっぷりで、女性騎手としてJRA史上初の平地重賞制覇に、惜しみない称賛を送りたい。

コパノキッキング

今年は藤田菜七子騎手を背にコパノキッキングが連覇達成(撮影:日刊ゲンダイ)

 2着テーオージーニアスは、後方から自分のペースで運んで、直線でよく脚を伸ばした形。ただ、今日はハイペースに乗じた感も否めず、コンスタントに力を発揮できるようになるかが今後の課題だろう。

 3着シュウジも、いつもより控えて運んだことで結果的にハマった印象。とはいえ、この競馬ができたことは今後に繋がるかもしれない。

 4着レッドアネラは、テン3ハロン32秒9のハイラップで飛ばした逃げ馬を追いかけて、ゴール前ではキッチリと捉えてみせたのだから、着順以上に評価できる内容だ。今後も順調に使うことができれば、重賞にも手が届く器だろう。

 5着ゴールドクイーンは、2走前に同じ舞台のながつきSで1分9秒0の好時計勝ちを演じた時とさはど変わらぬラップでの逃げだったが、当時より斤量が2キロ軽かったにもかかわらず走破タイムはコンマ9秒も遅かった。このあたりは牝馬の難しさで、内枠も良くなかったのかもしれないが、ブリンカーなどの馬具を装着すればもう少し安定して力を発揮できる可能性もある。

佐藤直文

筆者:


1963年、愛媛県生まれ。大学卒業後に入社し、当時(1馬)の看板評論家であった清水成駿に師事。坂路担当の調教班として馬の状態を自らの眼で確かめるとともに、独自の視点から発掘した穴馬を狙い撃つ予想スタイル。現、ラジオ日本、グリーンチャンネル解説者。

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